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体感する防災訓練ってナニ?

J:COM安心安全チーム 、東京担当の田中です。

火災は煙が怖いっていうけど、実際何が怖いの?
浸水域2mってどれくらいの高さまで浸かるの?

防災訓練で教わる様々な知識、「経験したことがないからイメージがつかない」そんな人も多いのではないでしょうか?
ということで、VRやARの映像技術を駆使し「体感できる」防災訓練を提供している法人を紹介します!

どんな法人?

今回、お話をお聞きしたのは新宿区にオフィスを構える一般社団法人「AR防災」の代表理事 板宮晶大さん。

AR防災 代表理事 板宮晶大さん

兄で大学教授の朋基さんが開発、弟である晶大さんがイベントなどで訓練の普及、兄弟が両輪となって活動を行っているこちら。

そもそもは、愛知工科大学で情報工学の専門だった兄の朋基さんが開発した防災訓練システムを全国に広めようとスタート。
今では自治体や学校、地元企業、福祉施設など様々な所から声がかかり防災訓練のサポートを行っています。

どんな防災訓練を提供しているの?

4月に行われた、港区の芝浦アイランド自治会が主催の防災イベントに参加した「AR防災のブース」を取材しました。

芝浦アイランド自治会さん主催の防災訓練の様子

ここでAR防災が提供していたのは「VRゴーグルを装着しての地震体験」。
ブースは行列が出来るほどの大盛況。

子ども達の列が出来るAR防災のブース

気象庁が発表している強震観測データを元に、2016年に起きた熊本地震の揺れをVRで体感できます。

体験する子ども達

360度見渡せるVRの世界で体感する地震。
下の動画のような世界を見ることができます↓

AR煙体験やってみた

AR防災にはVR技術の他にAR技術を活用した防災訓練もあります。その中から煙体験を、訪れたオフィスで筆者が体験させて頂きました。


訓練の説明を受ける筆者

AR煙体験は、現実の風景にARの煙を重ねることで火災時の煙の高さや視野がどうなるのかを体験できます。
(ゴーグルを装着)
板宮「目の前に煙が見えますか?」
筆者「見えます」
板宮「上をご覧いただくと煙が濃いと思うんですけどその場でしゃがむと足元は薄いですよね?」

(しゃがんでみる)
筆者「ホントだ! これは分かりやすいですね」
板宮「この部屋に非常口のサインがあるんですが探せますか?」
筆者「(あたりを見回すも上は煙でみえない)見つかりません…」
板宮「ゴーグル外しますね…」

板宮「どこでしょうか?」
筆者「(キョロキョロ) あった!これは煙で見えないですね」

入口の扉上に張られた非常口マーク

板宮「非常口の表示って、だいたいこのぐらいの高さにあるじゃないですか?だから、災害が起きる前に非常口がどこにあるかを確認しておく必要があるんです」

AR防災では、各地の防災イベントなどでAR煙体験をしてもらう際は同じ手法で非常口のサインを高所に貼って場所を確認してもらうとのこと。
確かにこの訓練を体感した人なら「火災時に煙で逃げ場所が分からなくなるかも…」という不安を感じると同時に、「自分の身の回りの避難経路は確認しておこう」と思うのではないか思いました。(※筆者もすぐに会社の避難経路を確認しました💦)

体験だけでは終わらせない

マンネリ化し右から左に抜けて行ってしまうような防災訓練を歯がゆく感じていたと言う板宮さん。
体験だけでは終わらせない…防災訓練で重要なのは体験をしただけで満足させず、体験し感じた不安などを解決できる知識をもって帰らせることだと言います。
そうするためにもAR防災では、参加者には出来るだけ、体験後に話を聞いたりアンケートを実施したりなど「やって終わり」ということにならないようフォローをしているそうです。

映像を通じて言葉だけでは伝えられない危機を体験できる防災訓練。
皆さんの地域の今後の訓練計画に取り入れてみるのはいかがでしょうか?

取材協力:一般社団法人AR防災 https://arbosai.org/