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ドローン防災のミライ

J:COM安心安全チーム、東京担当の田中です!

地域の防災訓練などでよく目にするようになったドローン。
空飛ぶマシンに興味はあるけど「正直なんのために必要なのか?」…と、肝心なところは分かっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そんなドローン防災のミライを信じて活動する板橋区の会社の事例をご紹介します!


お話を伺ったのは、板橋区成増にある城北ドローンオフィス代表 宮本さん。

城北ドローンオフィス代表宮本さん

ドローンのミライは前途多難?

コロナ禍でビジネスが停滞していた2022年。
ライセンスが国家資格になり「逆境の中で生まれてくる業界には力があるのではないか?」と考え、ドローンビジネスに参入した宮本さん。
しかし、早速大きなハードルにぶつかります。

町の中にはドローンに対してマイナスなイメージを持つ人が少なくなく、撮影中に「なに撮ってるんだ!」などと注意を受けることもしばしば…。
まずは、ドローンを理解してもらう必要がありました。

そこで宮本さんは「地域の為になることをドローンでやればマイナスイメージを払拭できるのでは?」と考え、防災を前面に打ち出すことにしました。

防災するにもコネがない!

しかし、心意気はあっても、防災関係者にコネが無い宮本さん。
まずは地域ですぐに参加出来る安心安全にまつわる活動に個人で応募。
▼区が主催するセーフティネットワークに参加
▼地元の消防団に入団
▼警察主催の防犯活動に参加 などなど

精力的に顔を出すことで徐々に地域の防災関係者に顔が知られるようになっていきました。

ドローン防災の可能性

城北ドローンオフィスの活動が大きく動き出したのは2023年。
地域の方たちに向けて開催したドローン教室が板橋区の目に留まったことがきっかけ。宮本さんが個人で行っていた地道な活動が地域での信頼を勝ち取っていたことも後押しし、板橋区と災害時の情報収集の協定を結ぶことになりました。

板橋区の防災課題~荒川の氾濫~

2023年10月に実施された「いたばし防災+フェア」の様子

板橋区との協定締結を機に「いたばし防災+フェア」で披露したのは、ドローンを使用した救援物資輸送のデモンストレーション。

これは、板橋区の防災課題の一つである荒川の氾濫対策の一環。
首都高5号線の近隣エリアが浸水し道路網が寸断されることによる「物流の停止」が起きた際に、取り残された住民を空路で支援できるドローンの力をアピールする目的で行われました。

令和元年東日本台風(2019年)の時の荒川の様子

物資輸送の限界と可能性

しかし、どんなにドローン技術が発達したとしても「大勢の命を救えるだけの大量の救援物資をドローンだけで運ぶのには限界があるのでは」と話す宮本さん。

そこで現在進めているのが病院や医療施設への救援物資輸送計画。

水だけを例にとっても、1人1日3リットルは必要と言われ、仮に50キロの物資を運べるドローンでも1度に運べる水は16人分。

400人収容の避難所なら、全員に水を行き渡らせるために25往復しなくてはならず、確かにこれは現実的ではない。
宮本さんは、水や食料ではなく薬や輸血用の血液などの搬送であれば、活躍の可能性があるのではと言います。

そのため、現在進めているのが板橋区内の病院にドローン専用のヘリポートを設置してもらう計画。
ヘリポートと言っても、屋上にHと書くだけの簡単なものだそうですが、これがあるだけでもしもの時には効果があるのではと言います。

防災だけじゃない、ドローンの未来

次に教えて頂いたのは、防犯ドローンのミライ。

ドローンなら、防犯カメラでは捉えられない死角を撮影でき、犯罪抑止に貢献できるのではと話す宮本さん。
実際、城北ドローンオフィスでは、警察主催の防犯訓練に参加し「不審者が現れた際の避難経路の導線確保」をドローンで行うなど、ミライへ向けた動きを始めている。

今後は例えば被災地の治安維持のために、ドローンポート(※1)を使い、遠隔で24時間自動操作が出来るシステムを使えば、防犯カメラ代わりにドローンが活躍できるのでは、と考えているそうだ。

(※1)ドローンの離着陸・充電ができる「ドローンの格納庫」

防災も防犯もまずは行動に移すのが大事

この他にもドローンのミライについてたっぷりと話してくれた宮本さん。
その中でも、必ず実現させると意気込んでいたのが、日本中のドローンパイロットのデータベース作り。

発災時に被害状況などの情報収集が必要な時に、地域ごとに登録されたパイロットを的確な場所にアサインできるシステムを作る計画だ。
これが実現すれば、孤立してしまった被災地でもドローンによる情報収集ができ、早期の復旧を目指せるのでは、と考えている。

防災や防犯については、会議を開いて満足するだけではいけない。
目標があれば、その達成に向けて必要なことは全てやると話す宮本さん。

ここまで話してくれた計画がすべて実現され、防災・防犯ドローンのミライが板橋区から飛躍する時もそう遠くないかもしれない。

取材協力:城北ドローンオフィス株式会社


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