「聞こえない」子どもの防災
J:COM安心安全チーム、関西担当の上田です!
「災害が起きた時、音が聞こえない」というシチュエーションを皆さんは想像したことがあるでしょうか。
聞こえない、聞こえづらいことは命の危険に直結します。
聴覚障害のある人たちが災害を乗り切るためには、さまざまな問題が立ちはだかっているのです。
今回、耳の聞こえない子どもたちが取り組む「防災」を取材しました。
聴覚障害のある子どもたちの居場所をつくっている「デフノバ」
大阪市の森ノ宮で活動している団体「デフノバ」。
2023年12月に結成され、聴覚障害のある子どもたちと一緒にお花見や書道、お母さん向けの手話学習など、さまざまな活動を行っています。
聴覚障害のある子どもたちがつくる防災マップ
デフノバが今回取り組んだのは「防災マップづくり」。
参加した5人の子どもたちと実際に街を歩いて、危険だと感じたことを反映させた「防災マップ」をつくります。
アドバイザーとして、大阪で防災士として活動する「ママコミュ!ドットコム」の出水眞由美さんが参加。
街を歩く前に、注意するべき看板などを子どもたちと話し合います。
今日は避難所までの経路を確認しながら、その道中に危険なものがないかをリサーチします。
地図上では分からない障害を見つけ出すため、街に繰り出します。
子どもたちの目線で気になるところを地図やスマートフォンにメモしていきます。
耳が不自由な子どもたちにとって「交通量の多い道」などは警戒するべきポイントとなります。
帰ると、街歩きで気付いた点を思い思いに発表していきます。
「道が狭い」「電柱が斜めになっている」など、大人の視点ではそれが障害になっていることにさえ気付けないことを指摘していたのが印象的でした。
歩いて避難所に着くまでにかかる時間、避難時に絶対に必要な補聴器など…子どもたちは、「いざという時に備える事」、そして「普段から防災を心がけて過ごす事の大切さ」を学んだようです。
なぜ危険なの?・・・過程を学ぶことの大切さ
デフノバの活動を続ける「ちゃふ」さんと「めがね」さん。
防災マップづくりを通して、聴覚障害のある子どもたちに防災の「過程」を知ってほしい!との想いで、このイベントを企画しました。
聴覚障害のある子どもたちは危険なことに直面した時「危ない」と言われるだけで、「それがなぜ危ないのか?」といった「過程」を学ぶ機会が、健常者と比べて極端に少ないそうです。
その原因のひとつとして聴覚障害者と健常者のコミュニケーションの難しさが挙げられます。
耳が聞こえないことで、会話のなかでいま何に注意を向けるべきか分からない子どもたちも多く、防災に関わっている人さえ、耳の聞こえない人との関わり方がわからないという危機的な状況に陥っています。
今回の防災マップづくりは、災害について「危ない」ということだけではなく、「なぜ危険なのか」という過程を自ら考えてもらうことで、少しでも被災時に助かってほしいというデフノバの2人の想いが込められています。
今回の取材を通して、聞こえない人だけが頑張るのではなく、聞こえる人が聞こえない人に対する想像力を養うことも同時に求められていると感じました。
デフノバの活動はSNSなどでも発信されていますのでチェックしてみてください。
取材協力:デフノバ
ママコミュ!ドットコム