台風の痕跡を次世代へ
J:COM安心安全チーム、千葉担当の小矢島です。
季節は冬へと移り変わってきましたが、この時期でも台風はまだ発生しています。例年より長い期間、台風が発生しているような気がしますね。
千葉県は海に面しているので、台風の発生や動きなど、こまめにチェックしている方も多いのではないでしょうか?
今回は、富津市の市民団体が千葉県で大きな被害を残した令和元年房総半島台風などの痕跡をまとめた冊子をご紹介します。
冊子を作ったのは「富津のまちづくりを考える会」
「富津のまちづくりを考える会」は、皆が安心して暮らしやすい富津市にするために学習・研究を行っている団体です。
令和元年房総半島台風のあと、世間での会話の大半が「台風の被害について」でした。会のメンバーが集まると台風の話ばかり…。
そこで富津市では何が起き、どんな困難に立ち向かい克服したのか、この経験をまとめて次世代に残していこうという意見が出ました。
そして、「災害があっても命が守られるまち」にしていけたらとの思いで冊子を制作したといいます。
令和元年房総半島台風に続いて台風来襲で被害が拡大
令和元年房総半島台風による影響で、家屋の倒壊や倒木により道が封鎖するなど1日で富津市のまちを一変させました。またその後に台風19号、更に台風21号が来襲し追い打ちをかけたといいます。
では、このような状況になる前に何か対策をとることはできていたのか、この冊子にはそんなヒントも掲載されています。
冊子の制作にあたって
約2か月間、コメントを公募しました。
富津市内ではどのような被害があり対策をしたのか、またどんな想いを抱いたのか。いろんな人の声を募集しました。
そうすると富津が実家の人、地元の人など、いろんな方々から声が多く集まったといいます。
そこには会の皆さんが知らなかった状況も数多くありました。
冊子は、第一章から第十章までに分けて書かれています。
「これまでにない被害に遭って」という始まりから、ボランティアに携わった人の声、また、感謝の気持ちなども記されています。
私が個人的にとても印象的だった言葉は「停電という困難にどう向きあうか」「精神的な負担をどう対策するか」でした。
会のメンバーも経験者
取材時、当時の様子を伺いました。
高台にある家は、道路や庭の樹木が倒れ道をふさいだり、ライフラインが止まってしまう原因につながったといいます。
そんな時、必然的に共助の力が働きました。チェーンソーを持っている人が木を切断して道を通行できるようにしたり、また水が提供されればその場所を共有したり…周りの人との協力があって助かった事例が多くあると話していました。
この台風以降、町会や自治会では災害時の備蓄品が見直され、チェーンソーを増やしたりと、経験したからこそ追加された防災備蓄品が多くあるとのことです。
起きてしまったことはしかたがないですが、それをどうやって克服していくか…経験を教訓にして学んでいくことが何よりも重要ということがわかりました。
この冊子は、富津市内外の図書館などに寄贈したということです。
皆さんもぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
取材協力:富津のまちづくりを考える会