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熊谷発!防災リュックの新アイデア

J:COM安心安全チーム、埼玉担当の和田です。

みなさん、イザというときの備えはどのようにされていますか?
わたしは、台所の隅に使わなくなった登山リュックを置いて、その中に長持ちするお菓子を放り込んだりしていますが、中身が取り出しづらい欠点があります。
置く場所も、イマイチ。台所は地震のときにモノが散乱するうえ、玄関と逆方向にあるので、とっさの時は取りに行けなさそうです。

グラッと来たときに持ち出しやすい、もっと合理的な備蓄アイデアが無いだろうか?と調べていたところ…埼玉県に住む防災士の方が発案した、画期的な防災バッグを発見しました。
その名もPONPA。開発者の江熊さんに、コンセプトを聞きました。

これがPONPA


発案者:江熊香さん


防災リュックになる食糧庫

これは、ひとことで言うと「隠さない防災リュック」です。「防災リュックになる食料庫」と言ってもいいかも。台所やリビングの棚にこのPONPAを入れて普段からレトルト食品などの置き場として使います。非常食って言っても普段からレトルト食品など非常食に近いものを食べているわけじゃないですか。「食品庫をそのまま持ち出せるようにすれば、備えになるんじゃない?」というシンプルな発想で設計しました。「ポンと置いて パっと持ち出す防災リュックだからPONPA(ポンパ)と名付けました。

江熊香さん


普段はこのように棚として

普段は、台所の一角やリビングのラックなどに置き、食糧庫として使います。ふむふむなるほど。中にはギッシリ、レトルト食品や飲用水のペットボトルが詰まっています

インテリアにマッチするデザイン

「バッグ」ではなく「棚」

普段から使うためには棚としての機能を発揮しなければなりません。そのために、開口部に独自の工夫があります。
下の図のように、片手で開け閉めできる構造をしているので棚として使うことが当たり前にできるんです(リュックではこのような使いかたが出来ませんよね!?)。
いちいち両手を使ってチャックを開け閉めする袋では、忙しい日常の中で常用しにくいものです。この構造なら棚からリュックを取り出さなくても中身の取り出しが出来るのですね!よく考えられてるなあ〜。

なんと、バーを下に引くだけで開きます!

こうしてお部屋の一角に馴染んだPONPAにレトルト食品をポンとストックして、ここから取り出して普段から消費します。
つまり、これを普段の生活において食糧庫として使っていれば、意識せずローリングストックができて、いつでも災害に備えている状態になる…というワケ。

そして…万が一の時は、これをパッと掴んで家の外に飛び出します。
中に入っているのは、食品だけ?いえいえ、食品スペースの奥側には非常時の防災アイテムが入れられます。ハザードマップや着替えなども入れておきましょう。

のりたまの奥から着替えが現れる…!
こんなに入る!ハザードマップも足せば備えはバッチリ

「ポン」と入れておき、何も考えず「パッ」と背負って家から逃げ出せば、数日間避難場所で過ごす準備ができているってことですね!

どこから出てきたアイデア?

PONPAを設計するときに考えたことは、日常のなかで自然に防災の備えができるようにすることです。たとえば、玄関でもリビングでも台所でもいいんですが目につく場所に常温保存できる食品を保管し、その入れ物は持ち出しやすい形状の物を選ぶ。そしていざという時防災バッグとして機能するよう防災グッズを隙間に入れておくといいでしょう。

江熊香さん

日常生活に、リビングに溶け込む「PONPA」。
この独創的なアイデアが生まれたのはなぜか?…何を隠そう、発案者の江熊さん、なんと建物の設計を生業とされているのです。

発案者:江熊香さん

非常時のセーフティー装置を日常の中に組み込む」発想は、なるほど建築を生業とする方だからこそ!と記者はいたく感心。
実はこのバッグ、椅子としても使える強度を持たせており、天面もフラットです。これもこだわりの設計ポイントで、避難先で休憩したり、食事をとる際にテーブルとしても使えるように、という狙いなんですが、そういった細やかな配慮も「女性の視点で建物造りのお手伝い」をモットーとする一級建築士、江熊さんだから出てきたものですね。

体重をかけてもびくともしません

PONPAを作りたいメーカーさん募集中
秀逸なアイデアがつまったPONPA、試作品は完成しており江熊さん自身で特許も取っているのですが、量産化はこれからの課題とのこと。
「製造・販売をしたいメーカーさん募集中です!」と江熊さん談。
この記事をご覧になっているメーカーやオリジナル商品企画をお探しの方…ぜひご検討ください!

取材協力:一級建築士事務所 アーキスタジオナミキ