自動車教習所で「災害対応」訓練?
J:COM安心安全チーム、埼玉担当の和田です。
2024年1月のある日、大宮自動車教習所で行われた「災害対応訓練」。
大宮東警察署と大宮自動車教習所が結んだ防災協定に基づいて行われた訓練ですが…どんなことを訓練するのでしょうか?
集まったのは、大宮東警察署・警備課の警察官などおよそ30人。
台風などで道路をふさぐ大木を切り倒すための訓練として、普段めったに使うことが無いチェーンソーの使用法を学んだり、長いバールで倒壊家屋の下敷きになった人を救出する訓練をしてゆきます。
普段使い慣れない資機材を使う経験
バールの下に支点となる角材を置き、棚を少しづつ持ち上げては、前もって切り出した角材を隙間に積み重ねて空間を広げてゆきます。
車用のジャッキを持っていない人でも、長くて強い棒、そして積み重ねられる堅いブロック状のものがあれば、重量物を持ち上げることができるのです。多くの家屋が倒壊した能登半島地震の記憶もまだ新しい中、参加者の眼は真剣そのものです。
教習所ならではの訓練 土嚢の意外な使い方
そして、教習所ならではの訓練がこちら。
土嚢を使った道路舗装の訓練です。
能登半島地震ではアスファルトが割れて生じた段差に阻まれ、多くの車が通行を阻まれました。そのような障害を乗り越え一刻も早く救助に向かうための技術です。
コツは「枕のように整えてから積む」こと。
参加者は次々と土嚢を運び込み、段差の下の面から上の面へつながる、なだらかな面を作り出していきます。
その後行われた乗り越えテストでは、徐行で進んできた車が数枚の土嚢を破りながら上の段に登りきり、参加者はその有効性を確認することができました。
まずは知ることが大切
訓練に参加した警察官は「実際に災害が起きた時、自分に何ができるか、訓練を通じてわかりました。資機材は、そもそも使い方を知らなければ救助の際に使えないので、今回の訓練で知ることができたという事は大きい」と答えてくれました。
車の往来がしやすい敷地と、練習に適した段差がある自動車教習所ならではの珍しい実習訓練でしたが、一般の方でもこうした「知識」を持っていれば災害時に人を助ける手段が増えるかもしれません。
段差には土嚢を「枕のように整えて積む」ということを、防災知識の引き出しに入れておきましょう。
取材協力:大宮東警察署、大宮自動車教習所