神戸から能登へ。アロマを通じた支援
こんにちは。安心安全チーム関西担当の松本です。
まもなく能登半島地震から1年を迎えます。
今夏には豪雨水害にも見舞われ、能登の人たちにとっては苦難が続く1年でしたが、そのようなつらい状況の中でも「心の癒しにつながれば」との思いで、神戸から支援を続ける人がいるんです。
「支援」といっても、いったいどんなことをしているのか…
神戸市垂水区にあるアロマスクール「Ruhe」の代表、今井由芽さんに話を伺いました。
遠く離れていても、支援はできる
ーーこの取り組みを始めたきっかけは?
「私のいとこが輪島に住んでいて、被災地の状況をいろいろ聞いていました。なかには”心のケアが必要”な方が多いということを聞き、『何かアロマを通じて私にできることはないだろうか』と考えました。現地の状況、そして距離の問題で直接私が行くことはできないが、代わりに現地の人ができるようになるといいな!と思ったことが発端です。そこで、輪島の人に声をかけ、もしアロマの勉強ができる状態であれば、資格取得に向けて学んでもらいつつ、避難所での生活にも役立ててもらいたい!と思ったんです。」
ーー具体的にはどんな支援をしている?
「アロマの学習支援です。アロマコーディネーターという資格の取得が目的で、神戸でも実施しているんですが、能登の受講生については2~3人を上限に受講料を免除、そして試験の受験料や遠隔での授業にかかせないタブレット端末費用を当スクールが負担しています。」
ーーいまは何人が受講されているんですか?
「12月時点で2人です。実はそのうちの1人がいとこなんですが、周りに声をかけてくれて、新たに興味を持った人が今月から参加することになりました。」
ーーレッスンのプログラムについて教えてください
「レッスンは全部で15回行います。内容はアロマセラピーの活用法についてです。例えば、アロマの精油の期待できる効果についてはもちろん、タオルに精油をしみ込ませてシップ代わりにする方法やお掃除での活用法など、多岐にわたります。また、受講生が独立して開業できるよう、関連する法律のことも教えています。レッスンが終わってから開業を目指すとなれば、そこもサポートはしていくつもりです。」
ーー受講生の反応は?
「アロマを活用することで、自分自身の癒しにつながっていると聞いています。あと、現地はまだ復興がそこまで進んでいないということもあって、『これから先、どうなるんだろう』というような不安も募ってくるようです。そんな中、いま行っている学習支援はオンラインで実施しているんですが、神戸の受講生も一緒に入っているので、その場での交流というか、つながりが持てることで安心にもつながる、といった声もいただきました。」
輪島に拡がるアロマの輪
ーー受講生の方は現地でアロマを通して何か活動をされていますか?
「実は、12月にアロマを使ったバスボムづくりのワークショップを開いているんです。何かを作ることで、少し気がまぎれるかもしれませんし、実際に参加したママさんたちも『香りで癒された!』と喜んでくれたそうですよ。」
ーー学習を支援することについて、やりがいを感じる瞬間はありますか?
「やっぱり受講してくれている人がアロマのことを知って、笑顔になってくれること。そして、受講した人からその周囲にも、アロマを通じて笑顔が拡がっていくことです。」
日常を取り戻すには、まだまだ時間がかかる
筆者の住む神戸のまちも、95年の阪神・淡路大震災で壊滅的なダメージを受けました。須磨や長田のまちがその後、「ある程度復興した」と感じたのは、8~10年経ってからのことだったように思います。つまり、能登半島地震から「1年経った」だけでは、ほとんどの人がかつての日々・生活を取り戻せていないことは想像に難くありません。これからも被災地でアロマの輪が拡がり(もちろんアロマ以外でも)、そして自然と笑顔があふれるようになっていけば、きっと能登の未来も明るいものになるのではないでしょうか。
末筆ながら、能登半島地震、そして奥能登豪雨の被災地域の皆様の安全と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
取材協力:アロマスクール「Ruhe」代表理事 今井由芽さん