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どう守る?医療的ケアが必要な人たち

災害時に孤立してしまう「医療的ケア児・者」

人工呼吸器や胃ろうを使用しているなど日常的に医療的ケアが必要な人たちは「医療的ケア児・者」と呼ばれます。

災害が起きた時、「医療的ケア児・者」は通常の避難所では対応が難しく、やむをえず被災した自宅で避難生活を送ることが多いといいます。

その結果、家族に大きな負担がかかってしまったり、社会的に孤立してしまうという問題を抱えています。

願生寺の取り組み

大阪市住吉区にある願生寺は近隣住民の交流の場として地域に開かれているお寺です。

そこでは近隣の子どもたちが宿題をする「寺子屋」や家族の介護をしている人たちが一息つける「介護者カフェ」などが開催されています。

そして地域の人たちが「医療的ケア児・者」やその家族と交流するためのイベントも定期的に開催されています。

住職の大河内大博さんは「医療的ケア児・者」にとって、地域の人たちの助けが不可欠だといいます。

そのうえで「災害弱者と呼ばれる人が自分たちの地域にいることに気付き、出会うことが地域にとっても大切なこと」だと話します。

お寺がその「出会いの場所」を担うべく、日々活動しているそうです。

大切なのは「ごちゃまぜ」になること

願生寺では「医療的ケア児・者」やその家族、障がいのある人など、誰もが「ごちゃまぜ」になって交流する「ごちゃまぜカフェ」を月に1度開催しています。

今年(2024年)初めて開催した「ごちゃまぜスポーツ大会」には約200人もの住民が参加しました。

これらのイベントに参加している「医療的ケア児・者」の保護者はこう言います。

「近所にこういう子が住んでるというのを頭の片隅にでも入れておいてもらえれば、『あそこのおうち、大丈夫かな』というふうに、お互いがいい感じのところで接点が生まれるんじゃないかと思います」

避難所の課題

しかし、「医療的ケア児・者」が避難できる場所がまだまだ少ないという課題は残っています。

人工呼吸器や吸引器などの医療機器を用いるため、災害時も電源の確保ができる避難所が必要です。

一般の避難所での生活が困難で配慮が必要な人に向けた「福祉避難所」がありますが、まだまだ整備が追い付いておらず、数も少ないのが現状です。

「医療的ケア児・者」の避難場所については社会全体で考えるべき問題ではないでしょうか。