現役消防士が休日に無償で救命講習をする理由
J:COM安心安全チーム、関西担当の上田です!
以前、大阪市淀川区の東三国にオープンしたAEDミュージアムを紹介させていただきました。
数々のAED(自動体外式除細動器)に触ることができるこの施設で先日、AEDを使った救命講習が開催されました。
講師を務めたのは一般社団法人BYSTANDERの窪田陽平さん。
実は現役で救命活動を行っている消防士です。
なんと、休みの日に全国を駆け回って無償で救命講習を行っているそうです。
そのために一般社団法人まで立ち上げて活動しています。
これは現役消防士としては異例なことだといいます。
しかし一体、なぜ…?
原動力は自身の「後悔」
現在、33歳の窪田さん。
もともとは安定した「公務員」という立場を得るため、そして体を動かすことが好きだという理由で消防士を目指したといいます。
しかし消防士を目指す専門学校からの帰り道、人が倒れている現場に遭遇します。倒れた人は心肺停止の状態でした。
専門学校でAEDの使い方は学んでいたはずでしたが、どう使うべきなのかが分からず、その場では立ち尽くすことしかできなかったそうです。
「そのときに何もできなかったことをずっと後悔しています」
それ以降、本気で人を救おうと猛勉強。
消防士となり、その後は救急救命士として活動を始めました。
救急救命士だけでは救えない命
救急救命士として現場に駆け付ける日々の中で実感したのが、心停止した人に対してAEDが使われているケースがとても少ないことでした。
救急車が到着するまで、平均で8分。
その場にいた人がAEDを使わなかった場合、命は助かったとしても、社会復帰できる確率は極めて少ないといいます。
反対にAEDを使った場合、倒れた人が1カ月後に社会復帰できる割合が大きく向上します。
救急救命士であっても、AEDが(適切に)使われていなければ救える命も救うことができないと痛感したそうです。
ただ、多くの人がAEDの使用をためらう理由は、自身の過去の経験からも理解できることでした。
AEDを安心して使ってもらうために
窪田さんの講習では、AED自体は音声ガイドもあり、操作自体はとても簡単だということを丁寧にレクチャーしています。
窪田さんはAEDは安心して使えるものということを参加者に伝えて、AEDを使う心理的なハードルを下げようと活動しています。
また、同時にAEDを使用した人に対する心のケアについても情報を発信しています。
窪田さんは話します。
「頼れるのは現場に居合わせた人たちです」
まずはAEDを触ってみてください。
窪田陽平さんへ救命講習のご依頼・ご質問をされる際はインスタグラムへ
https://www.instagram.com/bystander.1104/
取材協力:一般社団法人BYSTANDER
株式会社エム・イー・サイエンス