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災害時を見据えて なんでも食べられる子に育ててあげよう

J:COM安心安全チーム、東京担当の櫻井です。

昨今、ペット防災への注目が高まっていますが、ペットオーナーさんはどういった備えをされているでしょうか。
八王子市に会社・工場を構え、ドッグフードの製造・販売をしている「ペットフード工房株式会社」の佐野さんに、ペットの食の備えについて教えていただきました。

ペットフード工房株式会社 代表取締役社長 佐野 裕志さん

ペットフード工房とは…
ペットフード工房は世界的にも数少ない「完全無添加」のペットフードを手掛ける会社。病院で診てもらっても改善しなかった皮膚病を患った愛犬のために、自然の材料を使って自宅でフードを手作りしたことが創業のきっかけでした。

皮膚病を患った愛犬

食を改善したことで愛犬の病状は回復し「人も犬も医食同源」ということをまざまざと感じたそうです。以来、犬の健康を一番に考えて毎日八王子の工場で手作り、出荷しています。

そんな「犬の食」のスペシャリストに、防災の観点からお話を伺いました。

櫻井)最近のペットと人の関係性について教えてくださいー

佐野さん)現在、家庭で飼育される犬は、超小型犬がとても人気です。全体の87%が9キロ以下の小型犬ですが、5キロ以下の超小型といわれる犬種が50%以上を占めています。また、犬をどこで飼育しているかを尋ねたアンケートでは90%の飼い主が室内飼育をしていると回答しています。昔は、近所を歩いていると塀の向こうから犬に吠えられるといった経験は誰しもあったかと思いますが、最近ではほとんどないことから、室内飼育が大多数という結果にもうなずけますね。

一方で、犬が人の生活(居住空間)と同じ空間にいて、家族の一員として溶け込んでいるため犬を子どものように、また、猫をパートナーとして扱うような、動物を擬人化する傾向があるというのも、近年の特徴です。

櫻井)自分の子ども、家族としてたくさんの愛情を注いでいる飼い主さんが多くいらっしゃいますねー

佐野さん)ペットを大切に扱い、絆を深めることはとても良いことですが、必要以上に甘やかすと、ペットに振り回される結果になってしまうこともあります。

例えば、与えたエサを犬が食べない…飼い主は非常に心配になり、犬のために口に合うものを探しまわったり、フードの種類を頻繁に変えたりする状況に陥ってしまう場合も。しかし、これは飼い主が犬に「食べないと新しいものが来る」と学習させている結果です。防災の観点からも、このような食事習慣は問題です。災害時は通常の生活ができず、特定のフードしか食べない犬は違うフードに慣れていないため難しい状況になります。

また、様々なペット関連団体(一般社団法人ペットフード協会など)は被災地にペットフードを送る体制を整えていますが、普段のフード以外は食べない犬、とくに、冷凍や冷蔵で保存しないといけないドッグフードしか食べられない犬は、災害時には入手が難しくなってしまい対応に困るということがあるかもしれません。

櫻井)「特定のものしか食べられない」というのは、物資が乏しくなる環境下では苦しい状況になってしまいそうですねー

佐野さん)そこでおすすめしたいのは、様々な素材でできたフードを普段からローテーションして与えて様々な食材に慣れさせてあげること。好きなものを与えて喜ばせてあげたい親心も理解できますが、その習慣がもしかしたら災害時に裏目に出る可能性もあるのです。一見厳しく見えますが、好き嫌いなく食べられるようにしつけて、たくましく育てることも、いざという時を見据えた飼い主の愛情ではないでしょうか。

したがって、普段から犬の食事や行動についてのトレーニングを行い、災害時に備えることが重要です。日常生活でのしつけが、将来的に大きな助けとなります。犬を専門に扱う我々として、飼い主には、日々のしつけと多様なフードへの適応を図ることを強くお勧めします。

愛犬・愛猫家であるという佐野さん。
愛犬には、もちろん自社製品が中心ですが、様々な種類のフードを与えてなんでも食べられるようにしつけていると話していました。また、人の備蓄品にプラスアルファで犬・猫の分を追加して、いざという時に備えているそうです。

愛犬・愛猫と一緒に

写真提供・取材協力:ペットフード工房
無添加の国産ドッグフード通販サイト ドッグフード工房


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