居住者が互いに支えあえるマンションを目指して
J:COM安心安全チーム 東京担当の櫻井です。地域の防災・防犯に関する情報をご提供いただいている安心安全サポーターの東條さんから、「住んでいるマンションで初の試みをするよ」とお誘いいただき、当日の様子を見学してきました。
マンション初の非常食研修
10月下旬、マンション防災委員会(女性部)の主催で、居住者を対象に災害時の「非常食」の研修が開かれました。
実習したのは、湯せんで簡単にできるごはんとおにぎり、湯せんで作るカレー、きなこ飴、ほうれん草の和え物の5品。ライフラインがストップしたことを想定してカセットコンロと鍋、包丁、まな板などを各家庭から持ち寄りました。また調理方法にも一工夫。水をできるだけ使わないようにし、食材に直接触らないようポリ袋の上からおにぎりを握り、副食、総菜づくりも衛生管理に気を配ることをポイントに体験していました。
この日のために、女性部の3名が事前に防災食の研修を受けて作り方を習得し、参加者と一緒になって楽しく調理指導をしていました。参加した10名は、初めての調理方法にうまくできるか少し心配しながらも協力しあって料理し、約2時間でごはん・カレー・総菜を完成させ、美味い美味いと実食。自信も付け「またやろうね!」と楽しいひと時となりました。
本当のねらいは・・・
マンションの防災委員会の委員長を務める東條さんは、この研修のねらい、実は「防災の学び」がメインではないと話します。
マンションには高齢者が多くなり、特に災害時に孤立する居住者が多くなることを懸念していて、そうした人たちが室外に出て、居住者同士 “おしゃべりできる場” を設けたいと考えたのが、この企画のきっかけでした。当日も、その思いを「失敗OK、皆で楽しく和気あいあいとやりましょう」と参加者に伝えていました。
“おしゃべりできる場”を作るために
防災委員会(女性部)の主催で初開催されたこの企画。実は女性部に託したという点にも東條さんの仕掛けがありました。「防災を進めるためには、自分一人ががんばっても広がらない」という考え方です。カレーを試食しながら「第二回の企画は○○さん任せたよ」と参加者同士の会話が弾む一コマも。
東條さんは「防災についてたくさん伝えたいことはあるけど、防災・防災って言っても人は簡単に集まらない。みんなの協力を得て仲間を増やして、輪を広げていくのが一番」と、10名が集まった初の試みに手ごたえを感じていました。
次回の企画にも期待が高まります。
写真提供・取材協力:安心安全サポーター 東條清幸さん