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飼い主が無事でなければ、ペットも守れない

J:COM安心安全チーム、福岡エリア担当の谷川です。

突然ですがペットと一緒に暮らしているみなさん、災害時のペットとの避難って考えていますか?
熊本地震をきっかけに、ペット防災についての取り組みを広く発信しているスペシャリストを取材しました。

脱サラして始めたペット防災

一般社団法人HUGの代表理事・冨士岡 剛さん。
元々営業マンだった冨士岡さんは、有給などを使いながら「殺処分ゼロ」を呼びかけるなどの動物福祉のボランティアを10数年おこなっていました。

ペット防災について全国でセミナーを開催

そんなときに発生したのが2016年の熊本地震です。
動物のために何かできないかと避難所に駆けつけた時、目に飛び込んできたのは、外に出されたペットや同行避難によるトラブルだったそうです。
これはなんとかしないと!
冨士岡さんは、仕事を辞め、地震発生当日から益城町にある避難所に毎日通い、ペットと同行避難している被災者の支援活動を始めました。

避難所の外で待つペット

避難所のトラブルの原因のひとつは、ペットの同行避難を想定した区画分けなどの計画が事前にできていなかったこと。
そこで冨士岡さんは、クーラー付きのコンテナ3つとドッグランを準備してペットたちを一時的に預かりました。

益城町わんにゃんハウス
避難所のドッグランで休む犬

ドッグランでストレス解消

鳴き声や匂いによるトラブルは想像できますが、動物との接し方に慣れていない人や普段知らない人が突然ペットをなでようとして、驚いたペットが噛んでしまうということもあったようです。
ペットも大きなストレスを抱えていたのではと冨士岡さんは振り返ります。

ペットを守ることは、自分の命を守ること

「ペットと同行すると避難所に入れないのではないか」、「避難所に入れても迷惑をかけてしまうのではないか」など避難を躊躇ってしまい、避難が遅れることで、人が亡くなってしまってはいけません。
緊急時には、まずはペットを連れてすぐに逃げることが大切です。
と冨士岡さんは、訴えます。

私たちの命を守るために、国や自治体はペットの同行避難を推奨しています。しかし、避難所を運営する地域の方々がペットを受け入れる準備ができていなければ、ペットが避難所に入ることはできません。
ペットを飼っている方は、近くの避難所がペットを受け入れてくれるのかを確認して、それぞれの地域でペット防災について話し合うことが重要だと。

ペットが利用できるエリアは制限されることも

飼い主自身の防災意識を高めること!

大雨や台風の予報が出たとき、「いつも何もないから今回もきっと大丈夫」と考えていませんか?避難するときに、自分の防災バッグを背負って貴重品を持つ、だけでなく、ペットを連れてペットの防災グッズも持って…となると負担が大きくなります。
冨士岡さんはペットと一緒に暮らしている人は、誰よりも早く避難を始めるべきだと話します。

また、避難生活は私たちと同様にペットたちにとってもストレスになるので、普段から旅行やドッグランに連れて行くことで様々な環境に慣れさせておくのが良いとも話していました。

普段できないことは、災害時にもできませんよね。
改めてペットと私たち自身を守るためには、防災意識を高めて、事前の確認と準備をしっかりしておくことが大切だと思いました。

取材協力・写真提供:一般社団法人HUG代表理事・冨士岡 剛さん
【一般社団法人HUGホームページ】https://www.hug201609.com/