ペットを守れるのは飼い主だけ
J:COM安心安全チーム、東京担当の櫻井です。
ペットの災害対策をする上で一番大切なことってなんでしょう?
しつけ?備蓄?
東日本大震災のあと身寄りのない犬・猫を保護する福島県のシェルターでボランティア活動を行いその経験をもとに、立川市でペット防災の啓発活動をはじめた団体にお話を伺いました。
ペットと飼い主のための「防災ガイドブック」
この冊子を編集・発行したのは、立川市でペット防災の啓発に取り組んでいる市民有志による団体「立川ペット防災チーム」。
目次を見ると、最初の項目はペットの備えの話題ではなく飼い主自身の命を守る重要性が書かれています。
これは、まずは飼い主が無事でいることが大切という、立川ペット防災チームのメッセージ。
飼い主がケガをしたり、命を落としたりしたらペットは守れないのです。
そのために、飼い主の自助として、自宅の耐震化、家具の転倒防止対策など6項目を挙げています。
この冊子を発行した2022年当時、ペット防災について書かれているものの多くはペットの備えについてでした。
そこで、立川ペット防災チームは、飼い主の自助の大切さをしっかり伝えたいと考えました。
立川ペット防災チーム
2014年に発足し、立川市内で市民向けに講座を開くなど、ペット防災の啓発活動を行っています。現在は9人のメンバーが所属しています。
団体を立ち上げた背景には、東日本大震災後、被災地・福島県の動物保護本部の保護シェルターで約5年間にわたりボランティアをした福島さんの経験がありました。
保護シェルターには、原発事故により同行避難させることができずに取り残された多くの動物が保護されていました。
ボランティアは、シェルターの清掃や消毒、エサやりなど生活環境の整備の他に、飼い主が飼えなくなり、新しい家族に譲渡できるように人に慣れさせる準備もしています。
しかし、人に慣れていない犬はボランティアには絶対に触らせないそうです。福島さんはここでのボランティア活動を通じてとても悲惨な状況を目の当たりにしました。
このような状況を繰り返さないために、立川市の人たちに、被災地で起きたことや飼い主ができる備えを伝え、災害時には飼い主同士がお互いに支え合えるようにしたいとの思いで発足に至りました。
飼い主へのメッセージ
最後に、立川ペット防災チームが飼い主に伝えたいことを伺いました。
1.避難所はすべてが被災者優先
ペットの対応は飼い主同士が話し合いながら生活していかなければなりません。ペットの飼養場所の確保や衛生管理を含めた飼養ルールをつくり、散歩におけるルールやトイレマナーなども決めておき他の避難者へ配慮することが必要です。
2.普段以上にスキンシップなどをして優しく接して
ペットは飼い主の行動をよく見ています。飼い主が不安であったり恐怖を感じているとペットも同じように感じるはず。狂暴になったり臆病になったり様々な変化が現れるので注意深く見守ってください。もし、ケガをしていたらやさしく声をかけて安心させ、できるだけ早く毛布やタオルにくるんで安全な場所に避難させましょう。
3.飼い主同士のネットワーク作りを
避難生活が長くなると「共助」が重要。日頃から、災害に限らずいろいろな困りごとを話せる飼い主同士の関係性を作りましょう。
4.ペットの避難先は、知人や親せきに預けることも視野に
ペットの避難先は、避難所や在宅避難だけでなく、知人、親せき、ご近所など複数の預け先を検討しておきましょう。
5.ペットを守れるのは飼い主しかいません
飼い主自身、そしてペットの備えをしておきましょう。災害は防げませんが被害を減らすことはできると思います。
ペット防災において、飼い主が自分の命を守ることが、ペットの命を守る第一歩です。そして共に暮らすペットたちとの絆を大切にしてください。
写真提供:立川ペット防災チーム
取材協力:立川市社会福祉協議会、立川ペット防災チーム