被災者支援制度を賢く活用するには?
J:COM安心安全チーム、神奈川担当の島田です。
災害が発生し、自宅が半壊・全損してしまった!
再建したいが莫大な費用がかかってしまう・・・。その費用は、どうしたらいいのでしょう?
地震保険に入っていても建物の全額補償を受けるには、毎月高い保険料を支払う必要があります。でも、国や自治体による様々な被災者支援制度を活用すると、費用負担を減らして再建することができるかもしれません。
今回は、被災地で支援活動をしている「ざま災害ボランティアネットワーク」のメンバーに対しての講習会にお邪魔してきました。
この日、講師を務めたのは、日本弁護士連合会で災害復興支援委員会の副委員長を務める永野 海 弁護士。
地震などの自然災害で被害を受けた人は、生活の再建に向けて行政の支援制度が使えます。しかし、支援金を受け取れる条件は、複雑な構造となっているのが現状。
そのため、被災者が十分理解できずに支援から取り残されてしまうケースを知った永野さんは、支援内容や支援が受けられる条件などを、ホームページ、講習会、メディアなどを通じて発信しています。
永野弁護士が作成した被災者支援カードには、被災した時に申請できる可能性のある、特に大切な9つの支援制度が記載されています。
講習会では、制度を利用する際の注意点も紹介。特に印象的だったのが「応急修理制度」を使って住宅を修理した場合、仮設住宅には入居できず、公費による解体もできなくなるということ。
被災者は焦らずに制度の内容をよく確認し、行政や弁護士会などにも相談しながら再建を進めてほしいと話していました。
支援を受けるには、「罹災証明書」の申請が必要
「罹災証明書」
暴風、豪雨、豪雪、洪水、地震などの自然災害に遭い、建物が被害を受けた時に被害の程度や状況を証明する書類のこと。
罹災証明書の申請場所は・・・
自然災害の場合⇒市区町村の担当部署に申請
火災による被害を受けた場合⇒消防署へ申請
申請前に大切となるのが写真撮影。被害を受けた箇所を修繕する場合は、被害の状況がわかるように、カメラやスマートフォンで必ず被害箇所全ての修繕前の現況写真を撮影してください。
※いつ撮影したのかがわかるようにカメラの設定で撮影日を表示するか
撮影日がわかるものが写りこむように撮影
罹災証明書を取得すれば、様々な公的支援が受けられます。(※被害の判定には「全壊」「半壊」「一部損壊」などがあり、程度によって受けられる支援内容は異なる)
最後に
永野弁護士は、大規模な災害に見舞われると行政職員の手が足りないだけでなく、すべてを網羅している職員は少ないのが現実と話します。
提供できる支援制度を全て活用するには、自治体やボランティアなどが一人一人に丁寧に説明し、寄り添った支援を進めることが必要だと指摘していました。
私は、主な支援制度がこんなにもあることに驚くとともに、賢く活用すれば再建する費用負担が減らせることが分かりました。災害が起こる前に、こうした制度があることだけ覚えておけば、震災が発生し、自分の家が倒壊してしまった時など冷静に申請ができるのではないでしょうか。
より詳しい情報は、永野 海 弁護士のホームページでも、公開されています。
取材協力:永野 海 弁護士・ざま災害ボランティアネットワーク