行政と介護、交通事業者が連携し、避難行動要支援者の避難支援を!~北九州市でモデル調査はじまる~
J:COM安心安全チーム、北九州エリア担当の今石です。
災害発生時やその恐れがある時、一人残らず避難できるかは地域にとっての問題ですよね。
特に、自力での避難が難しい高齢者や障害者などの「避難行動要支援者」をどうするかが、大きな課題の一つになっています。
この課題を解決しようとする北九州市の取り組みを紹介します。
避難行動要支援者、北九州市の現状は?
北九州市では、令和6年8月19日(月)に市内の介護事業者である株式会社ウチヤマホールディングス、市内の交通事業者である第一交通産業株式会社、東京海上日動火災保険株式会社と連携協定を締結しました。
これは、避難情報発令時に避難支援者がいない場合や、避難先への移動手段がない場合に備え、「避難行動要支援者」を速やかに避難させることを見据えてのことだそうです。
※市内の避難行動要支援者は、647人。(2024年8月時点)
実現に向け、モデル調査を実施
市内全域における運用に向けて、現在門司区では、モデル調査が実施されています。これに先立ち9月5日に行われたシミュレーション訓練を取材しましたのでお伝えします。
シミュレーション訓練が行われたのは、門司区の柄杓田地区です。
柄杓田地区は、門司区内でも高齢化率がもっとも高く、2人に1人が65歳以上の高齢者です。
自家用車を手放す人も多く、交通手段が限られています。
シミュレーション訓練は、高齢者等が避難する「警戒レベル3」が発令されたという想定で行われました。
要支援者宅に自治会長が訪れ、避難を呼びかけます。
要支援者があらかじめ登録しているタクシー会社に電話をかけると介護事業者を乗せた車両が要支援者宅に到着。
要支援者は、無事、避難所まで送り届けられました。
北九州市では、モデル調査として台風の多い時期(9月~11月)に実際に避難支援を行い、市内全域を対象とした本格実施に向け、各社の連携体制や必要な車両の台数、施設数などあらゆる課題を抽出するとのこと。
3年後の本格実施を目指したいとしています。
誰一人、取り残さない避難を!
今後、単身の高齢者や避難の際に頼りにする人がいない身寄りのない人が多くなることが予想されます。災害時の避難に支援が必要な人が増えることは避けられません。今回の取材を通じ、すべての政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいる北九州市において、必要な取り組みの1つだと感じました。
取材協力:柄杓田地区のみなさん、株式会社ウチヤマホールディングス、第一交通産業株式会社、北九州市危機管理室、門司区役所