秋だ キャンプだ 防災だ!
J:COM安心安全チーム、東京担当の櫻井です。
東京都八王子市、楢原小学校の秋の恒例行事となっているお父さんたちの組織「楢原小学校パパサンズ」主催の防災キャンプをご紹介します。
防災キャンプ「学校に泊まろう!」
もともと子どもたちの思い出づくりとして16年前の2008年に始まった企画ですが、2017年からはお楽しみの要素も残しながら防災学習も盛り込んで開催されています。
年々人気が出て、今年は保護者も含めて過去最高の約200人が参加し、一夜を学校で過ごしました。
防災を学ぶ
午後1時、子どもたちが集合すると、まずは防災学習の時間。
学校の隣にある給水施設を見学。災害時を想定して、6年生は水の運搬も体験しました。
普段は蛇口をひねれば出てくる水も、運ぶとなると重くて大変な作業です。
ここで汲んできた水が、夕飯の調理で使う水になります。
初期消火訓練も体験。
1年生も消火器を使って練習しました。
体育館に戻ってからは、特別講師・学生団体「玄海」のメンバーに「ハザードマップの正しい見方」を教えてもらいました。
「玄海」は防災の話を楽しくわかりやすく伝える活動をしている団体です。
鎌倉が拠点ですが、楢原小の関係者に知り合いがいたことから、去年から参加しています。
話のテーマは「ハザードマップを信じていいのかな?」。
マップ上で浸水想定区域になっていないから安全だ、ということではなく、マップを参考に、倒れてきそうな塀はないか、壊れた道はないかなど、自分の目でみて避難経路も含めて確認しておくことが大切であると子どもたちに伝えました。
食事や宿泊は災害時を想定して…
目を引くのは、校庭に立ち並ぶテント。
災害時にはテント泊になることも想定されるので、その練習です。
宿泊体験を始めて以来、パパサンズはテントを少しずつ買い足して現在15張りを保有しています。楢原小学校が避難所となった場合には使うことを想定していて、防災キャンプはテントの定期点検の機会にもなっています。
6年生の力も借りながら作ったカレーは、肉なしカレー。これにも理由があります。
避難所には様々な人が集まってきます。宗教上の理由などにより食べられる食材も異なります。そこで、防災キャンプのカレーはお肉なし。
ですが、シェフであるパパサンズのメンバーが腕を振るい、野菜の出汁を活かしたおいしいカレーをふるまいました。
お皿にも一工夫。
ビニール袋をかぶせて汚さないようにしています。
キャンプといえば…日が暮れるとお楽しみの時間
夜になると、子どもたちお待ちかねのキャンプファイヤー。
学校の先生たちも加わり歌ったりゲームをしたりして楽しみました。
実はそのキャンプファイヤーの薪は、地域の材木屋さんから端材を譲ってもらったもの。万が一燃料が必要になった場合にはこうした日ごろのつながりも、何かの助けになるかもしれません。
この後、打ち上げ花火や、6年生限定の「校舎の屋上に上がるツアー」などをして楽しみ、翌朝には朝食を食べて解散となりました。
防災キャンプを終えて
防災キャンプを終えて子どもたちは「カレーを食べたり、キャンプファイヤーをしたり、普段できない経験ができて、とても楽しかった」「防災の事とかを楽しくクイズ形式でやっていたり、学校に泊まるという事がとても楽しかった」と話してくれました。
また、保護者からは、「給水所での給水体験ができた」、「防災について家族で考えるきっかけになった」など、防災について学ぶ貴重な時間となったと好評でした。
パパサンズの湯浅会長は「子どもたちには夜の方が楽しい思い出に残ったとは思いますが、楽しい事も込みで、防災に関して体験・学習する事で、実際の災害時に思い出して少しでも役に立てるようになったと思っています」と、関係者への感謝とともに、今年の防災キャンプを振り返っていました。
学校の授業では経験できない特別な1日、大人も子どももそれぞれの学びがあったのではないでしょうか。
写真提供:楢原小学校パパサンズ
取材協力:楢原小学校パパサンズ、楢原町東部町会