こんにちは。安心安全T関西担当の松本です。
突然ですが…夏と言えば海！
関西で海と言えば「須磨のビーチ」と言っても過言ではない！
そんな須磨海水浴場から歩いて約10分。
火照ったカラダを芯からキンッキンに冷やしてくれる！？名物かき氷店へお邪魔してきました。
とはいっても、目的はクールダウンだけではありません。
どうやら店主の幸内さん、防災に対してアツ～い想いを抱いているんだとか。いろいろ話を伺ってみました。

最終目的地は防災

約６年前、山陽電車月見山駅の近くにお店「パパパピッピーズ」をオープン。ゴリラや人食いザメなどを模した個性豊かなかき氷がSNSで人気を博し、一躍有名に！
ところが話を聞いてみると、カフェを始めたくてお店を開いたわけではないんだとか。
元々は、人を集め、地域を盛り上げるとともに、コミュニティを作っていくという目的で開いたお店だそうです。
そのコミュニティに求めるのは、人と人のつながり。これは、阪神・淡路大震災を経験しているからこそ、何かあった時の助け合いが必要だと実感しているからです。

800人⇒5000人　防災イベントの参加者数が飛躍

2014年、阪神・淡路大震災から２０年の節目に須磨の小学校で防災イベントを開催。
その時の参加人数は800人。1200人程度の動員を見込んでいた幸内さんとしては、物足りない数だったようで、思うように人が集まらないのはナゼなのか、しばらく考えたそうです。

辿り着いた結果は、ストレートに「防災」と謳ってしまったこと。
（この時のイベント名は『防災訓練SUMAあそBOUSAIまなBOUSA』』）
この言葉があるだけで、どんなによい企画を立ててもお堅くなってしまうのでは…『やっぱ普通に防災やってもおもんないわ！』

その反省を踏まえ、2016年に須磨海岸で再び防災とアウトドアを掛け合わせたイベントを開催。その名も「浜キャンプSUMA」

表向きには「浜キャンプSUMA」のイベント、裏テーマとして「防災」と据えたことが功を奏したのか、市民完全主導型防災訓練としては国内最大規模の5,000人を動員できたんだそうです。

参加者に対しては一切「防災」を打ち出さないが、実はその場で体験したアクティビティのすべてが被災時における行動はもちろん、学びにもつながるものに…幸内さんが打ち出した参加者を増やすための結論でした。

最近では近隣のお店と協力し、パパパピッピーズの店内でカレーイベントを開催。来店者にとっては、いろんな種類のカレーが楽しめるイベントですが、参加店舗にとっては「炊き出し訓練」という側面を持ち合わせています。
考え方、捉え方一つで、どこにでもあるようなイベントが「ステルス防災訓練」になるんです。

元からある地域の祭りは、”ほぼ”防災訓練

その後は特に大きなイベントを開いていないそうですが、これには理由があるようで。
いまは以前からある地域のお祭りに人を集め、盛り上げることに重きを置いていると幸内さんは話します。
というのも、お祭りの現場関係者の動きをみることで、パーソナリティや行動特性がよくわかり、コミュニティにおける個々の適正がイメージできるからだとか。何か災害が起きたときに円滑に組織（コミュニティ）として機能するためには、誰をどの役割に配置するとよいか、というのがよくわかるし、一種のシミュレーションだと話します。

間もなく見納め！？インパクト大のかき氷

先日、お店のSNSで２０２４年９月１６日（月）に閉店するという告知がありました。（https://www.instagram.com/papapapippies/）
実は取材時（７月上旬）にもこの話が出ていて、理由としてはこのお店を軸にいろんな人と出会い、つながることが出来たので、一旦の「目的達成」ということで店じまいを決めたそうです。
今年の６月に須磨シーワールドがオープンしたことにあわせ、シャチのかき氷を新メニューとして出したばっかりなので、その決断には少しビックリしましたが…行ったことがある人もまだの人も、須磨に行く際はこの夏の思い出作りに、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

余談ですが、須磨シーワールドの内覧時にシャチのショーで豪快に水を浴び、幸内さんのスマホが水没。「観覧する時は前から８列目まで要注意！」とのことでした。
スマホをシャチのスプラッシュから守るのも…立派な「防災」！

取材協力：パパパピッピーズ　幸内政年さん