次世代の「BOSAI」を考える!グローバルユース防災サミット2024
J:COM安心安全チーム、関西担当の上田です。
10月26日(土)に大阪市住之江区で「グローバルユース防災サミット2024」が開催されました。
グローバルユース防災サミットとは、「次世代の防災人材」の育成をテーマに、大阪を活動拠点にする若者たちが日ごろの防災活動について発表する場です。
また、世界的な課題である「BOSAI(防災)」について考えるために世界の若者たちも参加して、グローバルな視点で問題を共有します。
会場・オンラインに国内外から87人が参加しました。
若者たちは「BOSAI」にどう取り組んだのでしょうか。
大阪府立水都国際中学校・高等学校
大阪市住之江区にある大阪府立水都国際中学校・高等学校の生徒たちは、研修や留学で訪れた世界各国の都市における防災の取り組みを発表しました。
地震が多発するマレーシア・クアラルンプール、火災に見舞われるイギリス・リーズ、洪水の被害を受けたオーストラリア・ブリスベンなど、それぞれの都市における工夫や課題などを紹介。
その地域の特性にあった災害対策を進めていくことの大切さを説きました。
オーストラリアの女子消防団「Girls On Fire」
続いて、ティーンエイジャーの女子で編成されるオーストラリアの消防団「Girls On Fire」の活動が紹介されました。
「Girls On Fire」では消火に必要な実践スキルを学んだ女性たちが、実際に火災現場で活躍しています。
この活動の目的の1つに「性別による偏見をなくす」ことが挙げられます。
消防活動を通して、女性たちが社会的に力を得ることで、より多様性に富んだ安全なコミュニティを実現したいと話してくれました。
ユース防災活動報告「マウイ島山火事の被災地について」
2023年8月に発生したハワイ・マウイ島山火事。
藤田翔乃さんと出水眞輝さんがマウイ島を訪れたときのレポートを発表しました。
当時、島でサイレンが鳴らなかったことに対し、山火事の被害を拡大した理由の1つとして報道されることもありました。
しかし実際には、サイレンを鳴らすと津波のサイレンだと認識されてしまい、住民が山側に逃げてしまうことを懸念した、という事情がありました。
2人は報道だけでなく、実際に被災地で見聞きしたものを伝えていくことの重要性を説きました。
また、山火事という日本でも起こりうる災害に対して、今回のマウイ島から学んだ教訓を活かしていくべきだと話しました。
トルコの中高生「Çankırı TOBB Science High School」
2023年2月に発生したトルコ・シリア地震。
その被害状況と復興の様子をトルコの中高生が報告してくれました。
地震の影響は教育現場にも波及し、全国で2週間にわたって学校が休校になってしまいました。いまではオンラインを活用して、徐々に元の学校の姿に戻りつつあるそうです。
また、教育現場における防災学習の大切さを訴えました。
聞こえない子どもたちを支援 一般社団法人「デフノバ」
聴覚障害のある子どもたちが交流する団体「デフノバ」。
聞こえない、聞こえにくい状況で災害に遭遇することの恐ろしさを伝えてくれました。
デフノバに参加する子どもたちは今年、東日本大震災の被災地を訪れ、災害時にとるべき行動について学んでいます。
「災害時は『見てわかる』情報がありがたい」という発表に対し、多くの来場者が頷いていました。
災害ボランティア「OSAKANOTOMODACHI(おおさかのともだち)」
こちらの高校生たちは能登半島地震で被災した同世代の学生を大阪に迎え入れて、「友達」として過ごしました。
また、実際に能登半島に赴いて災害ボランティアとして活動。
高校生らしい等身大の目線で被災地の状況や災害ボランティアの活動について話してくれました。
みんなの「BOSAI」を語る
続いて、豊中市立第一中学校「地域守り隊」、私立高槻中学校・高等学校の生徒たちが加わって、若者による防災活動について議論しました。
防災活動を始めたきっかけや、自分たちの活動に必要なもの、自分たちの活動をどう評価しているのか、テーマに合わせて様々な意見が飛び交いました。
最後は参加した若者たちが議論を重ねてつくった、グローバルユース防災サミット共同宣言が披露されました。
大阪公立大・生田英輔教授による総評
日本では当たり前になったハザードマップが海外ではとても珍しいものという事例から「日本にいると見えてこないことが、海外の視点を取り入れるとわかるようになる」と話し、今日のようなサミットを有効に活かしてほしいと訴えました。
「グローバルユース防災サミット」は2025年の大阪・関西万博での開催が決定しています。
そこで、世界の若者たちはどんな「BOSAI」の形を見せてくれるのか。
私も追いかけていきたいと思います。
取材協力:グローバルユース防災サミット実行委員会