見出し画像

地域を守る若い力!学生消防団

J:COM安心安全チーム、千葉担当の浪越です。

「自らの地域は自ら守る」という精神に基づき、消防力・防災力の向上を
始め、地域の安心安全を守る活動を行っているのが消防団です。

災害時に助けてくれる「地域の強い味方」といったイメージがある反面、
消防団には団員の高齢化や団員数の減少といった課題があります。

ところが!
実は大学生などの学生消防団員の数はここ数年増加傾向にあるといい、消防庁によると令和5年度は全国で6,562人、前年と比べ856人も増えているといいます。

入団者数については、重点的に取り組んできた学生団員や機能別団員の増加等に伴い、8年ぶりの増加となったものの、消防団員数は約76万3千人(対前年比約▲2万1千人)と、2年連続で2万人以上の減少となりました。

出典:消防団の組織概要等に関する調査(令和5年度)の結果

学生消防団員には「地域を守る大きな力」として期待がかかっていると言っても過言ではないでしょう!

ということで今回は、大学生消防団の草分けともいえる、淑徳大学 (千葉県 千葉市中央区)の学生消防団を取材しました!

敬礼!淑徳大学学生消防団
淑徳大学学生消防団インスタグラム


淑徳大学 学生消防団 = 千葉市消防団 第3分団5部

淑徳大学の消防団は、千葉市消防局から「千葉市消防団 第3分団5部」の名称を受けた公に認められた消防機関です!
今年3月の時点で大学生・卒業生・大学職員を含めて16人の団員が在籍。
これまで卒業生を含めると69人がこの消防団で活動してきました。

淑徳大学 淑水記念館と消防車

淑徳大学の学生消防団は公に認められている消防団のため、正月の出初式や春・秋の火災予防運動での広報活動、九都県市の防災訓練で日ごろの訓練の成果を披露するなどといった一般の消防団と同じ活動を行っています。
もちろん日ごろの活動としては、AEDの扱い方などの救急救命についての勉強をしたり、消防団員としての訓練を重ねながら、いざという時に備えています!

火災予防運動では広報活動を!

その他、学生消防団の特色として一般の消防団員と比べ昼間に活動することが多いといったことがあげられます。
実際に昼間に近隣で火災があった時に授業中の学生が非常呼集されて、現場へ出動したこともあったそうです。昼間に地域で消防活動を行ってくれる学生消防団の存在は心強いですね!

全国初の学内消防団として誕生!

この淑徳大学の学生消防団は「少しでも地域に貢献したい」といった思いのもと2009年に発足しました。
「阪神・淡路大震災」や「新潟県中越地震」などの被災地ボランティア活動から「防災に特化したサークルが必要だ」と感じていたことがきっかけだったといいます。
始めは大学近くの消防団で1年間学び、2010年に千葉市消防局から「千葉市消防団 第3分団5部」として正式に消防団として任命され、全国初の学生消防団が誕生しました。

2011年には東日本大震災の被災地、宮城県石巻市で支援活動を行い、千葉県内の学生消防団を持つ大学と連携して訓練やイベント活動、地域の人たちや子どもたちとの触れ合いなどを通して活動の幅を広げています。

淑徳大学学生消防団は千葉市消防団 第3分団5部として活動!


若き消防団員に聞く! 学生生活と消防団活動

学生消防団ってどんな場所?
学生生活と消防団活動は難しいのでは?など疑問がありますよね。
そこで現役の学生消防団員である、大寺智也さん(コミュニティ政策学部 3年)と吉田 妃那さん(総合福祉学部 3年)にお話を伺いました。

吉田妃那さん(3年:左)と 大寺智也さん(3年:右)


Q. 淑徳大学の消防団について

大寺さん:
地域防災力を高めるという点について学生消防団はあるべきだと思います。
他の消防団と違い、私たち学生は日ごろ大学内にいるため、いざという時にすぐ動けるという点において、社会人以上に力を発揮できるのではないかと思っています。

吉田さん:
学びの場だと思っています。
私の地元が若者を必要としている中で、将来地元に戻った時に活躍でき、自信につながるものが、この消防団にはあると思っています。

消防車の点検をする大寺さん

Q. 消防団のイメージは

大寺さん:
消防団に入る前は、厳しい訓練や環境、高齢者がやっているイメージがありました。今はそういったイメージは崩れていますが、若い人にもっと入ってもらいたいと思います。

吉田さん:
消防団に入る前は、おじさんがやっていて、女性がいないというイメージでした。消防団に入り、他の学生消防団と交流することもあり、消防団には意識が高い人が多いと思いました。
また、女性も活躍できるんだと気づきました。

広報活動をする吉田さん(右)

Q. 淑徳大学の消防団と他の大学の消防団との違いは

大寺さん:
淑徳大学の消防団は、全国初の学内消防団としてプライドもあり、積極的に活動を行っているところです。
また、大学周辺は連帯感が強い地域だと思っていますので、地域の人たちと強い連携で結ばれた活動を行っています。

吉田さん:
地域とのつながりがあることが大きいと思います。
地域の人と活動したり、学園祭などで地域の子どもたちと交流する機会も多く、地域とのつながりを大事にしているところが他校との大きな違いだと思います。

パトロール前のブリーフィング!

Q. 将来の夢について

大寺さん:
学生消防団の夢として、他の消防団と切磋琢磨し若い力を発揮したいです。
個人の夢は消防士を目指しているので、この消防団で経験を積み消防士になりたいです。

吉田さん:
社会福祉士の資格を取得し、地域のために仕事をしたいと思っています。
将来はこの消防団で学べる防災や防犯を生かしていける仕事をしたいと思います。


地域を守る若い力!

取材をしていると多くの自治会や地域の防災・防犯組織から「高齢化」「若い世代が加入しない」といった課題が話にあがります。
けれども、決して若い世代が地域の防災や防犯に関心がないわけではありません。学生たちのインタビューにもあったように、加入前のネガティブなイメージが先行してしまっていることが原因のひとつなのかもしれません。

ところが、加入後にはそのイメージも変わり、ポジティブなイメージに変化し「地域を守っていきたい」という大きな志で活動を行っていることを感じました。
さらに淑徳大学の消防団で活動した学生たちの多くは、大学卒業後に消防士や警察官になった人もいます!

地域の安心安全を守る次世代は地域とのつながりを大切に、今日も地域の安心安全のために活動を続けています!

今日も地域の安心安全のため出発!

取材協力:淑徳大学