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防災士の活躍に期待!足立区の水害対策支援に報償費も

J:COM安心安全チーム 、東京担当の市川です。

「(仮称)あだち防災リーダー制度」の取材ノートをお届けします。
これは区内の水害対策をさらに進めるためのもので「足立区」と「水害リスクが高い地域」と「防災リーダー」の3者の取り組みです。

あだち防災リーダー制度は、全国でも画期的な試みです。そのため、まだ名称には(仮称)が付いています。
今年度は試験的な運用になるということですが、大きなポイントは2点あります。

►地域防災の担い手になりうる防災士などの活躍に報酬を払うこと
►水害用コミュニティタイムラインの実効性をさらに高めること

区内在住の防災士が集まった説明会 足立区庁舎ホール / 6月23日

説明会に参加したのは、区が費用を助成して「防災士」の資格を取得した皆さん。ことし3月、区が主催した防災士対象の研修会に参加し、「防災リーダー」に関心がある人たちです。

「防災士」とは「自助」「共助」「協働」を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人。

(出典:認定特定非営利活動法人 日本防災士機構)

ポイント① 「ジモト防災士」活躍の場を自治体がつくる

足立区では防災士資格取得のために費用を助成しています。
これまで区が費用助成した防災士は300人~350人。
自費で資格取得した人を含めると、区内には1000人弱の防災士がいるのではないかとのことです。
これまで区は資格取得者の活躍の場については、個人の判断に委ねていました。

一人の命も取り残さない

私たち「J:COMの安心安全チーム」の志と同様に、地域には災害時「一人の命も取り残さない」という想いを持った人たちが大勢います。

「(仮称)あだち防災リーダー制度」誕生の背景には、救うべき人たちへの支援課題がありました。
►荒川や中小河川の氾濫によって被災する区民
►大規模水害時に逃げ遅れる可能性のある区民
►逃げたくても逃げられない避難行動要支援者
►逃げ時・逃げ場所のわからない区民
►観光客や外国人など、足立区民以外の方

ポイント② コミュニティタイムラインに注力

コミュニティタイムライン(CTL)とは…町会役員をはじめとする住民が中心となり、水害時に取るべき行動や避難のタイミングについて、「いつ・誰が・何をするか」を定めた事前防災行動計画のこと。

「マイ・タイムライン」は一人ひとりの防災行動計画を決めるものであるのに対し「コミュニティタイムライン」は、まちの人みんなが取るべき行動や避難のタイミングなどを予め決めておくもの。
足立区の例では、おおよそ台風最接近の4日前からの計画としています。

最終ミッションは、水害時の逃げ遅れゼロ

説明会当日に配布された資料をもとに、「(仮称)あだち防災リーダー」の最終ミッションから逆算して説明しましょう。
 
▼最終ミッションは、水害時の逃げ遅れゼロにすること
▼そのために「コミュニティタイムライン(CTL)」の実行性をより高める
▼そして持続性のある「コミュニティタイムライン」を支援するため
①   普及啓発 ②訓練 ③改善 を掲げて活動します

活動にあたっては、「足立区」が「コミュニティタイムラインを策定した地域」と「防災リーダー」とのマッチングを図ります。

CTLを知る・広める・備える

ミッション遂行には、地域との信頼関係が不可欠

現段階で予定されている活動地区は、既にコミュニティタイムラインが策定されている4地区です。
►中川地区 ►小台・宮城地区 ►本木・関原地区 ►千住第五地区
(新田地区は現在策定支援中)

「(仮称)あだち防災リーダー」の認定・登録要件には、区が指定する講習(計2日)を受講できること。
町会・自治会と調整し、区の支援のもと、普及啓発活動(年2回)・訓練(年1回)を企画・運営できることなどがあります。
基本的には区内在住とのことです。

自らを守ることを優先の上、活動の幅を広げる

足立区災害対策課水害時避難担当では「コミュニティタイムラインをまだ知らない方もいるでしょう。まずは地域でコミュニティタイムラインの有効性を知ってもらい、その上でいつ・誰が・どのように動くかをはっきりさせることからスタートしたい」としています。

質疑応答の場面では、町会・自治会の防災活動活性化に苦慮する意見や、震災場面での行動を問う声も挙がっていました。
区では、まず、今年度は水害対策に着手、令和7年度以降、震災対策などにも活動の幅を広げられるか検討するとしていました。

コミュニティタイムラインの実効性をより高める

災害の行動計画をできる限り明確にできれば、それだけ命が助かる確率も上がるのではないでしょうか?
町会・自治会役員の高齢化が進む中、報償費を支払ってでも防災の助っ人を増やしたいのではないでしょうか?
水害時の逃げ遅れをゼロにする「あだち防災リーダー」の活躍に期待したいです。

ちなみに報償費は?

気になる報償費(予定)です。
原則的に、認定・登録要件である「普及啓発活動(年2回)」「訓練実施(年1回)」を行い、年度活動報告を提出後に一括で支払われる予定。
年額18,000円(見込み)
 
《内訳》
普及啓発活動 4,000円×2回
訓練実施 4,000円×1回
会議・打合せ 1,500円×4回
 

取材協力:足立区災害対策課