【板橋区】80歳で子ども食堂を始めた小池さん
J:COM安心安全チーム、東京担当の田中です。
板橋区富士見町で子ども食堂をやりながら、地域の安心安全な暮らしを守る活動をしている小池さん。
御年86歳。
80歳の時に始めた子ども食堂への思い、活動の原動力についてお聞きしました。
80歳で子ども食堂をスタート
「子ども食堂 にっこりキッチン」代表の小池妙子さん。
看護師の経験を経て、看護学校の先生として還暦まで務めあげ、子ども食堂を始めたのはなんと傘寿(80歳)の時。
休むのはあまり好きではない性分。
青森から東京に戻り、何かしようかな…と考えていた時、たまたま回覧板で回ってきた「子ども食堂をやってみませんか?」というチラシがきっかけでした。
「料理は嫌いじゃない」
早速、小池さんは高島平で開催されていた説明会に参加することに。
そこから、様々な人たちの話を聞き…
「何とかできそうだな」
と思ったそうで、翌年から子ども食堂開設に向け動き出しました。
長年お住まいだったご自宅を自費で改築し2019年に「こども食堂 にっこりキッチン」をスタート、今年で6年目を迎えました。
地域の助けになれば、と始めましたが、来てもらえないのでは意味がありません。普段から何でもインターネットでリサーチするということで、この時も開業前に、周辺地域に子ども食堂のニーズがあるかをしっかりとリサーチ。
近隣に子ども食堂がないことも分かり、地域の人に活用してもらえる可能性はあると判断しました。
近隣にチラシ配りや個別訪問をして開業をアピールすると、初日に30人が来てくださり、まずまずのスタートを切ることができたと言います。
お弁当を配って「はい、さよなら」は嫌だ
そんな小池さんのモットーは「お弁当を配って終わり」にしないこと。
「それでは、ただの食堂でしかない」、「生活に困っている人が助けを求めている時にフォロー出来なかったら意味がない」。
小池さんは子ども食堂に来る一人一人との会話を大切に、もし何かに困っていたら、相手が嫌がらない限り、支援の手を伸ばし続けると言います。
時には深刻な家庭事情を抱える子ども達と出会うことも…。
これがヤングケアラーというのか
病気がちな母親の世話をしていた三人兄弟の長女と出会った時、「こういう子どものことをヤングケアラーというのか」と気づかされたと言います。
それから小池さんは月に1回、彼女をサポートするため子ども食堂で相談に乗ることに。
スタッフとも連携しながら、受験対策など今もサポートを続けています。
今後はヤングケアラーの支援を強化したいと考えている小池さん。
しかし、あまり支援の数は増えていないのが現状。
理由は、助けを求める声が、子ども食堂に来ている人達からしか届かない為。
チラシを配ったところで助けを求める声は聞こえない…
そこで教育委員会に出向き、板橋区の中学校で「ヤングケアラー支援を中学生に知ってもらう寸劇をやらせてほしい」と直談判することに…。
果たして、小池さんの思いは伝わるのか?
実はこの件、まだ進行中とのことで、進展あればまた記事にしたいと思います!
なぜそこまで人のために頑張れるのか?
最後に、小池さんが86歳になっても今なお人の為に活動している原動力についてお聞きしました。
「9人兄弟で父親が早くして亡くなり、中学生の時に末っ子を学校に連れていったりと苦しい生活をしていた経験から、自分は一生涯仕事はやめないと決めていた」
「自分の子どもが生まれた時も子育てしながら働いていたが、さすがに限界を感じた時は当時勤めていた病院の空き部屋を活かせないかと思い院長に直談判して院内保育を作ったりもしました。そんな経験から、元々人のために何かやる素質があったのだと思います」
「残り少ない人生、自分のために使ったってつまらない。今までお世話になった社会の人達にお返ししたいと思っています」
子ども食堂やヤングケアラー支援の他にも、食材支援や高齢者支援などなど、ここに書き切れなかった様々な地域支援を行っている小池さん。
「今のところは90歳まで頑張る」
小池さんの挑戦はまだまだ続きます。
取材協力:子ども食堂 にっこりキッチン