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空き家問題を解決!古民家を再生し地域の交流スペースに

J:COM安心安全チーム、北九州エリア担当の今石です。
最近よく耳にする空き家問題。少子高齢化や都市部への人口集中が進む中、地方や郊外を中心に空き家の数は年々増加していますよね。
その影響は深刻で、建物の老朽化による倒壊や不法侵入などの犯罪が起こる可能性があり、地域に住む人たちの安心安全をおびやかしています。
私が住む北九州市も例外ではないのですが、この空き家問題に画期的な活動で取り組む団体を取材しましたので、その内容をお伝えします!

改修前の「石坂BASE’」

空き家問題の現状

まずは、空き家問題のおさらい。令和5年、国の住宅・土地統計調査によると、日本国内の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%を占めているとされています。このうち北九州市の空き家数は、約8.2万戸、空き家率は16.0%と政令指定都市の中では、2番目に高い空き家率となっています。そして空き家がもたらす問題が大きく以下3つに集約されるといわれています。

空き家がもたらす問題

1:安全性の問題
老朽化した空き家は、倒壊の危険性が高く、地域の人たちにとって大きなリスクである。また不法侵入や放火などの犯罪の温床になりかねない。

2:衛生面の問題
放置された空き家は、害虫や害獣が住み着くことがあり、地域の衛生環境に悪影響を及ぼす可能性がある。また、不法投棄の場所として悪用される場合がある。

3:地域コミュニティへの影響
空き家の増加は地域の活力低下を招き、住民の生活の質が低下する。空き家の増加イコール人口減少であり、地域そのものの持続可能性が脅かされる。

いずれも由々しき問題ですね。

空き家問題への対策

前置きが長くなりましたが、北九州市での取り組みを紹介します。
北九州市で空き家問題が課題となっているのが八幡西区の石坂地区です。
高齢化が進み空き家が増える一方、近くに公民館がないなど、地域の人たちが集まりやすい場所が不足しており、地域のつながりが希薄化していることも課題になっています。
これらの課題をひとまとめに解決しようと取り組んでいるのが一般社団法人「北九州未来づくりラボ」です。石坂地区にある築50年の古民家を再生するプロジェクト「石坂BASE’」プロジェクトをスタートさせました。

築50年の古民家を再生した交流スペース「石坂BASE’」

「石坂BASE’」プロジェクト

このプロジェクトは、使われていない空き家を地域にとって意味のある新しい空間に生まれ変わらせるというもの。空き家を交流スペースとして再生することで地域活性化につなげることを目的としているのだそうです。

プロジェクトは、2023年にスタートし、2024年冬に空き家の改修作業を開始。改修作業にあたっては、建築を学ぶ大学生に声を掛け、専門家の指導の下、さながら実践研修で進められたということです。

柱と壁の距離を測り、棚を作りました
畳をはがした下に敷いてあった木材を再利用
改修前の内観
改修後の内観
専門家の指導の下、大学生が中心となり作業をすすめました

リビングやトイレ、庭のウッドデッキなどを改修し、「石坂BASE’」は
2024年10月にオープンしたとのことです。
オープン後には、交流会やスマホ教室などが開催され大賑わい。
中でも今年1月29日に行われた「子ども食堂」ならぬ「おやじ食堂」と題したイベントには、多くの地域の人たちが参加し、鍋を囲み、親睦を深めたそうです!

あったかいお鍋を囲み、会話がはずみます

参加した人たちは「地域の人が集まる場所ができてより交流が深まった」とうれしそうに話していたそうです。

プロジェクトを主催する「北九州未来づくりラボ」では、今後も地域の交流を目的としたさまざまなイベントを開催する予定だということです。

「石坂BASE’」の管理人さんは、北九州未来づくりラボの大野木さんです

北九州未来づくりラボの大野木さんは、「地域の居場所づくりの手助けができればと思い、取り組んでいます。この場所が、市民センターや公民館にかわる第三の地域交流の場になるよう育てていきたい。」と取り組みへの思いを語ってくれました。

取材を終えて

八幡西区石坂にある古民家を再生した「石坂BASE’」。空き家をDIYでリノベーションし、地域の交流スペースとして活用することで、地域住民の絆を深める場を提供しています。空き家問題と地域コミュニティの課題を解決するこの取り組みは、同じ問題を抱える他地域の参考になるのではないかと感じました。地域の活力を取り戻し、住民が安心して暮らせる環境づくりを目指す「石坂BASE’」の今後の活動に注目したいと思います!

取材協力:八幡西区石坂地域のみなさん、北九州未来づくりラボのみなさん