えっ!? 高校生なのに…
こんにちは!J:COM安心安全チーム、千葉・茨城担当の伊澤です。
突然ですが、皆さんは町会、自治会と聞いてどんな連想をされますか?
「地域住民の集まり」「同じ地域に住む人々が集まって助け合いながら暮らすための組織」「夏祭り」「清掃活動」「防災訓練」など、人によって様々なイメージを持たれていると思います。
そんな町会、自治会も、近年は地域社会の変化に伴い、あり方も大きく変わってきています。
今回は、まちに新しい風を取り込み地域の新たなコミュニティづくりに挑戦する松戸市の小金下町町会(こがねしもちょうちょうかい)にお邪魔しました。
今回の取材で私が注目したスゴイ人が、この方!!
鈴木秀輔さん、高校生3年生。
えっ!? 秀輔さんのどこがスゴイのかって?
実は秀輔さん、松戸市の小金下町町会の町会役員なんです。
更に驚いたのは、秀輔さんのお父さんである鈴木雄輔さんも役員なんです!
という事は親子そろって町会役員を務めているという事です。
町会自治会の役員と聞くと、大人たちで構成されている印象が強いですね。
人によっては、堅苦しい雰囲気があり若者や新しい意見を取り入れてくれないのでは?など、勝手なイメージだけで町会自治会活動が苦手な印象をもたれている方もいるのではないかと思います。
歴史あるまちの課題とは…
町会長を務める上野さんは「小金は古くから歴史のあるまちで、住民同士の交流や絆は深いと思います。ただ昨今、少子高齢化、核家族化、生活スタイルの多様化が進む中、町会活動への参加率が低下し、地域コミュニティの維持が難しくなっているのも事実であり、そこが課題となっている」と話します。
世代交代ではなく、新しい世代も共に参加することが重要
そこで鈴木雄輔さんは考えました。
「よく地域が一体となって…と耳にするが、よくよく考えると、ほとんどが大人の意見だけで決めてしまっている事が多く、やはり自分たちが住む地域は、大人だけではなく、若者や子ども達も一緒に地域参加する事がベストではないか」
そんな思いから、雄輔さんは、長男の秀輔さんを町会役員に推薦する事を決めたといいます。
歴史あるまちに高校生役員の誕生
小金下町町会で初の高校生町会役員となった秀輔さんは、若者ならではの視点やアイデアを地域活動に取り入れます。魅力的なコミュニティづくりが期待され、情報発信を担当する広報役員を任されました。
地域改革のパイオニアとなるか!?
秀輔さんは、まず地域の情報発信する手段を考え、本人が得意とするSNSやパソコンを使った広報ポスター制作、子ども達が喜んで参加できるイベント企画などの取り組みに力を注ぎました。
「我々のようなシニア世代がつくるポスターやチラシは、ほとんどが文字だけの情報でした。ただ秀輔君がポスター制作を担当するようになってからは、色の使い方を工夫しイメージイラストをいれたり、高齢者にも情報が見やすくなるよう文字を大きくしたりするなど、仕上がりも地域から好評なんです」と上野会長は、高校生町会役員の活躍を教えてくれました。
友達ならではの地域ネットワークの活用で成果が!
「近所に町会からのお知らせを連絡するのも、電話で伝えるべきか?今は夕食の準備で忙しいかも?など、大人だとついつい気を使ってしまいます」と話す秀輔さんの母、鈴木 薫さん。
「しかし重要な連絡以外であれば、地域の友達ネットワークを使い、秀輔から友達へ、友達から親へ伝えてもらう方法もあるかなと思いますし、その方が早く情報も拡散できると思います。秀輔は、LINEなどのSNSやメールを活用して町会の情報を伝えています」と語ってくれました。
若者・子ども達も、防犯・防災活動に参加する町会に!!
この日は、小金下町町会の防犯パトロールが行われました。
秀輔さんの手作りポスターと呼びかけの成果もあり、大人はもちろん、子どもや若者も多く参加しました。
消防設備の点検からまちの危険な場所の確認、子ども達は親の付き合いで参加しているのではなく、自ら進んでパトロールをしています。
上野会長が心配していた課題のひとつ「地域住民の町会活動への参加率の低迷」。
秀輔さんによる若い世代への地道な呼びかけが、小金下町町会の課題解決につながることを願います。
秀輔さんから毎回、地域活動に誘ってもらっているという参加者の女性は、「秀輔さんの町会参加は、私たち地域の若者にも良い刺激を与えてくれていますし、まちの活性化につながると思います」と言います。
また秀輔さんにとって人生の大先輩となる役員の皆さんも話してくれました。
秀輔さんの活躍の波及効果は、これだけではありません。
すでに弟の孝輔君(小学生)もお兄さんの背中を見て「僕も将来は、お兄ちゃんのように町会役員になって、まちを盛り上げたいと思います」と、頼もしいメッセージをカメラに向かって答えてくれました。
小金下町町会の長い歴史の中で初の高校生町会役員の誕生、そして地域情報発信の新しい仕掛けを託された鈴木秀輔さんの挑戦。
最後に秀輔さんが町会役員としての意気込みを語ってくれました。
「これからは僕たち若者の視点で捉えるまちの出来事を大人の方へ教えてあげる事も大切かな、と思います」
取材協力:小金下町町会(松戸市)