能登を教訓に!沿岸部の町で大規模防災訓練
こんにちは。
J:COM安心安全チーム、関西担当の山田です。
能登半島地震からもうすぐ1年が経とうとしていますが、この地震では「沿岸部」の町などで甚大な被害を受けました。
大阪府の沿岸部に位置する泉大津市では、この地震を教訓に防災に取り組んでいるようです。
泉大津市は以前、安心安全の番組でも取り上げさせていただいた「防災ポスト」など、地域に合わせた「親しみやすい防災」に力を入れている地域です。
今回は能登半島地震を教訓に実施された泉大津市の史上最大規模の大防災訓練&イベントを覗いてきたので、ご紹介します。
初の情報伝達訓練
災害時には情報伝達の手段として防災無線放送がありますよね。
しかし一部の住民にはその防災無線放送が聞こえにくく「情報が届かない」という声がありました。
そこで泉大津市は電話やFAXで防災無線放送の内容を受け取れるサービスを導入。この日は事前にサービスの登録をした500人以上の住民に電話をかけ、実際に電話に出る人数を集計しました。
全避難所同時開設訓練
能登半島地震では、3割強の指定避難所が開設されなかったそうです。
こういった事例を受け、この日、泉大津市では避難所不足の解消と環境を改善するために、津波浸水想定エリア外も含めた「市内すべての避難所を同時に開設する」初めての訓練を行いました。
自主防災組織からそれぞれ324人の市民防災リーダーと、初動対応を担当する市職員が協力して避難所を開設しました。
訓練の時間になると各方面から地域の人が徐々に集まり、まず避難所の鍵開けから、必要な物資を運び、テントやトイレを協力しながら組み立てます。
一つ一つ実際に災害が起きた時はどうすればいいのかを話し合い、確認しながら避難所をつくっていました。
最後には訓練を振り返るフィードバックを発表しみんなで意見を共有しました。
また、集まった地域の人たちはそれぞれが知っている防災情報も共有していましたよ。聞いたところによると、パーカーなどの上着を半分に折って腰に巻くことで、腰を守ることや少しの荷物を入れることもできて便利なようです!これは一石二鳥!メモメモ…φ(..)
参加者のひとりにお話を伺いました。
29年前に阪神・淡路大震災の支援ボランティアをしていた山下さんは、建物や道路の被害が大きく、簡単に移動できなかったことを覚えていて、現在「シニアカー」に乗る山下さんは災害が起きると自分の足では逃げることできず、避難の難しさを訴えていました。
街ではシニアカーに乗る多くの高齢者を見かけますが、車両の電源モーターは、地上から約5㎝の高さの位置にあることから「浸水すると移動ができなくなる」という懸念点があり、災害時は課題の一つになっているようです。
訓練一つをとっても、様々な気づきがありますね。
この他、市役所では全職員で行う安否・参集状況確認や初動対応シミュレーション訓練も行われました。
炊き出しに、シミュレーションに、ラジオまで!
会場となった公園では防災イベントも開催。
ぜんざいの炊き出しや社会福祉協議会によるボランティア活動のシミュレーションなど多くの地域の人たちが参加していました。
また、コミュニティラジオ「FMいずみおおつ」が会場に出張ラジオ局を開設。石川県輪島市で支援を行った市の職員が、被災地でのエピソードを話す特別番組「能登ラジオ」を公開生放送していました。
イベントの中でも、特に驚いたのが実際の車を使った救助訓練です。
車に閉じ込められた人(マネキン)を助け出すためには車の窓枠を溶接しなければいけません。これがまた大変!特殊な車の窓枠や窓ガラスの溶接は簡単ではなく、何度も溶接の工程を重ねて解体していきます。
作業中も閉じ込められている人(マネキン)にも不安を拭うための声掛けを忘れません。普段なかなか見ることができない救助訓練に大人も子どもも興味津々で見入っていました!
イベント会場も複数あり、市内全域で行われた大規模訓練。
すべてご紹介しきれない程、学びや防災情報が満載な一日でした。
これからも泉大津市の防災の取り組みに注目していきたいと思います。
協力:泉大津市役所