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アイメイト(盲導犬)の使用者から学ぶペット防災①

ペットを守ること、いろんな角度で考えよう。

J:COM安心安全チーム 東京担当の市川です。
もし、東京で大地震が発生したら…
そして、普段から生活を共にするペットと一緒だったら…
準備はできていますか?災害は常に想定を超えてやってきます。

写真提供 公益財団法人アイメイト協会

このJ:COM地域取材ノートの特別企画として、ペット防災専門家の平井潤子さんと動物好きベッキーさんによるタメになる対談がありました。その記事にもありましたが、突発的な災害が発生する場面では、ワンちゃんの日頃からのしつけや飼い主どうしの助け合いなどが必要になってきます。

そこで今回ご紹介したいのが、公益財団法人アイメイト協会のアイメイト使用者の声です。協会では「私の愛する目の仲間」という想いを込めて、盲導犬ではなく「アイメイト」と呼んでいます。

アイメイトはペットではありませんが、ワンちゃんの飼い主の方には参考になる内容です。3回シリーズでお伝えします。視覚障害者&盲導犬は、どのような場面で助けが必要なのか、ぜひとも知っていただきたいと思います。

写真提供 公益財団法人アイメイト協会

取材に協力してくれたのは…久我裕介さん(45)千葉県在住です


「令和元年 東日本台風」で、ドッグフードのストックを決意

久我さんにとって、アイメイトは自分の分身。行動を共にするという意識よりも「自分そのもの」なのだそうです。

防災を改めて意識したのは令和元年の台風19号のとき。物流が止まり、自分の食べ物は…、それよりもアイメイトのドッグフードの確保が!となったそうです。

なかなか思うように手に入らないのがわかったことから、これを教訓として1か月分確保しておかないといけないと思ったといいます。

写真提供 公益財団法人アイメイト協会

「注意すべきは、電車で遠出のとき」

外出時、久我さんの大切な持ち物は…
アイメイト用の排泄セット、ビニール袋、水、すべて多めに持ち歩きます。

外出先で大きな災害が発生したら、少なからず誰もが動揺します。そんな状況下でアイメイトの使用者は、必要なものを多めに持っておくことが大切と考えているといいます。より冷静な行動を取るための「守りの手段」です。知らない場所で犬用の買い物をするのは簡単なことではないでしょう。

気にかけているのは食べ物。そして、ワン(おしっこ)・ツー(大便)という、どうしても必要な排泄セット。一時避難することになっても、大きめのビニール袋が清潔な居場所づくりの一助になるそうです。

写真提供 公益財団法人アイメイト協会

「津波が来るぞ!」では、どっちに逃げたらいいかわからない

私たちは盲導犬を連れた視覚障害者をどのように助けたらよいのでしょう?
久我さんは、盲導犬と一緒にいる人や白杖を使っている人たちは、「そっちに行ったら危ないよ!」などのように、具体的にどのように行動する必要があるのかを教えてほしいはずだと訴えていました。

困っていたら「お手伝いしましょうか?」、「一緒に逃げましょうか!」と手助けしてくれると嬉しいそうです。「津波が来るぞ!」だけでは、どちらに逃げたらいいかわからず、方向は必ず教えてほしいと。ワンちゃんは優秀ですから飼い主を引っ張って、我先に逃げるようなことはしないのではないかとのことです。

避難所へ行く準備

久我さんは、自宅近くの避難所へは、家族と確認しに行ったことがあるそうです。アイメイト歩行は、十分に歩行指導を受けた視覚障害者からの指示を受け、人と犬とが協同で安全な移動を実現するものです。そのため、使用者はアタマの中に地図をインプットしておかなければならず、いろんな方向から避難所へ行けるようにしておくことが必要だといいます。

避難所へ行けるようにしておく準備というのは、障害の有無に関係なく大切ですよね。

また、スマホナビを普段から使うようにして慣れておくこと。アイメイトを守る意味でも、GPSで遠隔サポートしてくれる技術も活用しながら、日ごろからいろいろな場所を歩けるようにしておく意識が重要だといいます。

写真提供 公益財団法人アイメイト協会

いまだにホテルで断られることも

盲導犬(アイメイト)は、視覚障害者にとっては目と同じ。しかし、ホテルや飲食店で断られることがまだあるそうです。「社会の理解をもっと得られれば」と願います。

久我さんは、「避難所生活となったら、周りの人が応援してほしい。アイメイトは自分の目として避難所内でも静かに「ステイ」するのは可能なのでできる範囲で情報提供してもらえると嬉しい」と協力を呼び掛けています。

取材協力・写真提供 公益財団法人アイメイト協会