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世界初!「フレイル」を”秒”で測定できちゃいます。

兵庫県立福祉のまちづくり研究所(神戸市西区曙町1070)

こんにちは。J:COM安心安全チーム、関西担当の松本です。

先日、取材で訪れた神戸市西区の「福祉のまちづくり研究所」でちょっと不思議なものを発見!

鮮やかなスカイブルーが目を引くこの椅子!なんと2~3秒座ってから、立ち上がるだけでフレイル状態なのかどうかを測定してくれるんです!

ーそもそも「フレイル」とは…

主に高齢者の体力や気力の余力が減り、心や身体、社会的な機能が低下した状態のことを言います。フレイルを長期間放っておくと要介護状態になる危険性が高くなります。

出典:福祉のまちづくり研究所 フレイル測定椅子そばのポスターより


そして大事なのは、フレイルに陥る前に、自分自身の身体の状況を知って予防をすることだそうです!

こんなスゴイマシン(椅子?)がどうやってできたのか…
発案者で福祉のまちづくり研究所の陳隆明所長に話を伺いました。

福祉のまちづくり研究所 陳隆明所長

…実は「3代目」

これから日本は高齢化社会を迎えるのに、当時世間では「フレイル」への関心が薄かったように陳所長は感じていたそうで、本気でフレイルに向き合う必要があると考えました。

では、フレイルをどのように判別、測定するのか…先述の椅子が出来上がるまで、構想10年を費やしました。

初代の案は、被験者をアバター化し、全身をCTスキャンして身体の状況を判別するというものだったそうです。
しかし、これでは手間もコストもかかるということで断念。

続いて誕生した2代目は、WEBカメラを使用して被験者の動作を解析するといったもの。やはりこちらも高度な周辺機材を揃える必要があり、コスト面で断念。

それまでの挫折を乗り越え、2022年に誕生したのが3代目となる今回の椅子。座面と太もも、背もたれと背中の距離を2つのセンサーで測定し、その情報を独自のアルゴリズムで、身体状態を5段階評価。最短2~3秒で結果がわかるんです!

ちょっと腰かけて…
一息おいてから立ち上がるだけ!
背面モニターに結果が表示!5段階のレベル数値とイラストが表記される。
「フレイルの入り口」となる3だと、こんな表示に…

体験してみると、あまりの測定の早さに「え!?なんで!?」と思ってしまうんですがこの技術、特許も取得されているので、仕組みについては詳しくこれ以上話せないとのことでした。

医学論文も発表 測定結果に根拠あり

陳所長曰く、これまでのフレイルの調べ方はアンケートが中心で手間がかかる上に、客観性に乏しいとのことでした。
しかし、この技術に関しては医学論文も発表し、正式に認められているので「根拠がある」というところがポイントだそうです。

最終的には「一家に一台」が理想

現在このイスは「福祉のまちづくり研究所」「播磨町(兵庫県)」「吉野川市(徳島県)」の3ヶ所に設置されていて、いずれも誰でも使用ができるとのことです。

逆にいうと、その3ヶ所でしか測定ができないのですが、陳所長は「血圧を測るのと一緒の感覚で、最終的に一家に一台普及できたら」と話してくれました。

その言葉通り、現在「折り畳み式」の測定椅子を開発中だそうで、特別に写真をお借りしました。

開発中の折り畳み版 提供:福祉のまちづくり研究所
提供:福祉のまちづくり研究所

これからは実用化に向けて、ともに取り組む企業を探していくとのことでした。
先ほども書きましたが、開館時間中は誰でも測定してよいとのことなので、近くを訪れた際はちょっと寄ってみて、自分の身体のことをチェックしてみてくださいね!繰り返しますが、フレイルは早期の予防が大事です!

取材にご協力いただいた研究所のみなさん

取材協力:兵庫県立福祉のまちづくり研究所