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木更津市八幡台が描く、災害に負けない未来への挑戦

こんにちは、J:COM安心安全チーム 千葉・茨城担当の伊澤です。

突然ですが、皆さんは大規模災害が発生し避難を余儀なくされた時、自分がどこの避難所に行けばいいかご存知ですか?
避難所は、災害時に命を守るための重要な場所です。

今回は、災害から身を守り、命を守ってくれる避難所を住民の力で運営する仕組みを考える「木更津市八幡台小学校区ひばりまちづくり協議会」を取材しました。

木更津市といえば2019年に発生した令和元年房総半島台風の影響により長期に渡る停電、断水などが発生し、市民生活に甚大な被害を及ぼしました。
令和元年12月5日現在の内閣府の発表によると千葉県では人的被害は46人(重症8人、軽傷74人) 住家被害311棟(全壊4棟、一部破損4,705棟、床上浸水40棟、床下浸水66棟他)と発表されています。

この過去の辛く厳しかった災害を教訓に木更津市のサポートを得ながら、住民の力でより迅速に安全で円滑な避難所運営を目指しているのが「八幡台小学校区ひばりまちづくり協議会」の皆さんです。

【災害を乗り越えるためには住民力が必要不可欠】

八幡台小学校区ひばりまちづくり協議会   会長  青木 明さん

「最近、大規模な自然災害が日本国内で頻発しており、自助・共助の重要性がますます高まっています。八幡台地区では、災害発生時に公助だけでは対応しきれない事態を想定し、住民自らが主体となって防災に取り組み、協力し合う災害に強いまちづくりを目指しています」と協議会の会長を務める青木さんは話します。


【迅速に避難所を開設するための手法とは?】

(左) 藤﨑  仁さん  (右) 宮嵜 義昭さん

現在、木更津市では市内の避難所を誰でも、いち早く開設から運営までできる“ある物”を設置しています。
その名も「ファースト・ミッション・ボックス(F・M・B)」。

ファースト ミッション ボックスとは、大規模な災害が発生した時に、少しでも早く避難所を開設するための運営マニュアルや防災倉庫内の物資のチェックリスト、各種情報をまとめたものです。

FMBに先駆けて協議会独自で作成したオリジナルマニュアル

市内の中でも、今回取材した八幡台公民館では、木更津市がファースト ミッション ボックスを設置する以前から、協議会独自のマニュアルボックスを作成していたそうです。被災し辛い思いをした地域だからこその協議会スタッフ皆さんの先見性を強く感じました。

同協議会の総務部会長を務める宮嵜さんは…。

総務部会長 宮嵜  義昭さん

「大規模災害が発生した場合、必ずしも市役所の方が一番最初に避難所へ来るとは限りません。しかし災害との闘いは時間が勝負です。ゆえに私たち住民は自分の安全は自分たちで守らなくてはなりません。そのためには行政の方に避難所を開けてもらう事を待つのではなく、自分たちの力で開設から運営を行う事が必須であり、そのために誰にでも分かる避難所運営マニュアルを作成しました」

【F・M・Bの中身とは?】

このボックスには、避難所開設準備から前回の台風による長期停電・断水等で住民が大変な思いをした飲料水、毛布、医薬品などの物資の保管場所や、いち早く備蓄品の在庫を確認するためのチェックリスト、また電気を確保するための発電機の操作方法のマニュアルなどが入っています。

【避難所をいち早く開設することの重要性】

同協議会  防災部会長を務める千葉さんは…。

防災部会長 千葉  義夫さん

「令和元年房総半島台風の時は、電気、水が止まり、通信まで途絶えて本当に大変だった。ライフラインは我々の生活に必要不可欠である事を改めて実感しました。避難所をいち早く開設すれば、その分我々住民が助かる術が見つかると思う。だから行政に頼るだけではなく、自分達のためにも避難所を自分達の手で開設する事は重要だと思います。その為にも、このファースト ミッション ボックスの存在は、避難所へ真っ先に避難してきた人々が互いに協力し合い、避難所の開設準備を進められる、重要な役割を担っているのです」と当時を振り返りながら語ってくれました。


【地域が連携し災害に強い街を目指す木更津市】

木更津市  総務部危機管理課  危機管理官  梅木 竜彦さん

終わりに、木更津市危機管理課  梅木管理官に話しを聞きました。
「現在、木更津市は大規模災害発生時、各避難所へ職員を派遣し、迅速に開設できる体制を構築しています。しかし、災害規模によっては職員が現地へ行けず、開設できない事も想定されることから、地区別に避難所開設職員と地域との共同訓練を行い、市民と市職員が連携し災害に強い木更津市を目指しています。このファースト ミッション ボックスの活用方法も含め、ワークショップを定期的に開催し木更津市民の安心・安全のための各種災害に備えています」

地域が一体となって防災・減災計画を進める木更津市

今回の取材で感じたこと…

取材の様子

以前、私が取材した千葉市稲毛区にある黒砂公民館避難所運営委員会で避難所開設のためのM-BOX(マニュアルボックス)を開発した池江さんの「避難所はホテルではなく、地域住民の協力があって成り立つもの。だから公助に頼らず、みんな(共助)で避難所運営をする事が重要なんです」という言葉を思い出しました。

災害が発生した時、自分や家族がどの避難所へ行けばいいかを行政などが発行しているハザードマップで事前に把握し、また災害規模により公助に頼れない事を想定し、共助・協働の面で自分には何が出来るのか…。

取材を通じて考えさせられました。

協力:木更津市八幡台小学校区ひばりまちづくり協議会、八幡台公民館、木更津市総務部危機管理課 
   ©危機管理教育研究所 First Mission Box®

※「First Mission Boxは、長野県飯田市と国崎信江(一般社団法人 危機管理教育研究所 理事長)により考案されたものです」

★今回紹介した木更津市八幡台小学校区ひばりまちづくり協議会が取り組む避難所運営については、以下のYouTubeの動画でご覧いただけます。