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忘れちゃいけないトイレの備え

J:COM安心安全チーム、埼玉担当の和田です。

今回は、我々の活動をフォローして下さっているJ:COM安心安全サポーターの安藤由美さんから寄稿いただいた訓練レポートをご紹介します。

安藤さんは日ごろから上尾市大谷本郷の自主防災会で「災害時のトイレをちゃんと準備しよう」と呼びかけを続けている方です。
八潮市の陥没事故により排水抑制が求められる中、トイレの備えについて読者の皆さんと再確認することが大事な時期と考え、我々(安心安全チーム)が執筆をお願いしました。

以下、安藤さんのレポートになります。


大谷本郷の訓練の様子 写真提供:松本晴光さん

八潮で下水道管の漏水が原因の道路陥没。びっくりでした。
訓練のたびに、地元の方に向けて「地震で下水道管が壊れたらトイレは流さないように」と話しているのですが、実際にあんな大きな管が破損することがあるなんて、想像できませんでした。

流域下水道マップ に編集部が加筆

私たちの地域(上尾市)の下水管は、大きなバイパス(上尾道路)の下に戸田の排水処理場まで繋がっています。距離が長いので、壊れる可能性も高いってことですよね。今回のことでドキドキが増えました。

マンホールトイレ設営訓練の際に中を確認 写真提供:安藤由美さん

さて、私たちの自治会(上尾市大谷本郷地区)では2024年度の訓練で「災害時のトイレの備え」を重点テーマとして取り組んできました。
トイレの備えの具体的な方法を、もっと住民に知らせるべきだ、と考えたからです。

防災用品はずいぶん普及してきていますが、スーパーなどの売り場でもみんなが目に行くのはアルファ米などの食料、家具の固定器具など。
最近はトイレにも注目が集まってきたけれど、置いてある簡易トイレ系のものは種類も少なく、棚の端っこにおとなしく収まっている状態なので、市民の目には入りにくいものです。

防災訓練での「携帯トイレ講座」 写真提供:安藤由美さん

私たちの啓発活動では、バケツを使って、実際の携帯トイレをセットし、凝固剤に水を注ぎ、みなさんに実験してもらいます。
「なんか化学実験みたい」と大人も子どもも、ノリノリです。
どこまでかたまり続けるか?と水を限界まで注ぐことにチャレンジするグループもありました。

実際に触ればどんどん興味が沸いてきます 写真提供:安藤由美さん

携帯トイレについて情報を伝えるだけでなく、実際に触ってみる、必要なことを伝える、どれくらい必要かその人なりに考えてもらう。それからどんな製品があるかを知ってもらい、どこで買えるか?まで伝えています(おまけにネットで買えない方へのお手伝いも!)。

訓練に必要なものはバケツ、ペットボトル、簡易トイレセット。
この3点だけなので、どこでもできちゃいます。

使う道具はシンプル!実施しやすい啓発活動です 写真提供:安藤由美さん

2024年はトイレに特化した啓発講座をたくさんやってきましたが、日頃からみなさんに伝えてきたことが現実になったこと、壊れることはないだろう
と思っていた大きな本管が壊れたことにびっくりしました。トイレをきっかけに他の備えにも関心を持っていただきたい、と考えています。



編集後記
いかがでしたか?「災害が少ない」とされている埼玉県ですが、日常においても災害に近い状況が発生し、多くの人が戸惑いを隠せない状況のなか、備えに関心を持たれた方も多かったのではないでしょうか。
下水道の流路について初めて調べてみた方も多いはずです。下水道管路は公開されていますので、ぜひご覧ください。

今回の事故を教訓として危機意識と関心が高まることが地域の問題に立ち向かう第一歩になるのでは…と考えこの記事を公開しました。寄稿いただいた安藤さん、ありがとうございました。

取材協力 上尾市防災士協議会

参考 埼玉県 流域下水道管路マップ