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命を守る防災風呂敷

J:COM安心安全チーム、札幌担当の池田です。

「命を守る防災風呂敷」という講座を取材してきました。
風呂敷の文化や歴史、基本的な結び方や災害での活用法のお話があり、中でも私がみなさんに知ってもらいたいと思ったことをお伝えします。

風呂敷をたったの1枚、カバンに入れておけば…いざという時、大切なものを守れるのです!

講座では風呂敷の大きさ・色・模様のトリビアも

●風呂敷の活用法3選

リュックサック・ウエストポーチ

風呂敷はリュックサックやウエストポーチなど両手を自由に使える収納バッグにも!講座では、たったの8秒で早変わりしていました。
急な避難時でも大切なものをしっかり携帯できますよ。

シューズ

広げた風呂敷の上に新聞紙などを置き足を乗せて固定すれば、足のサイズにフィットした靴の出来上がり!裸足で避難せざるを得ない状況がこないとは言い切れません。そんな時は安心ですね。

風呂敷の簡易シューズ

給水袋

ビニール袋と併用すれば、災害時に貴重な水を運ぶ給水袋になります。
風呂敷は必要なのかって?ビニール袋を風呂敷で補強すると、水の重さで取っ手が千切れたり、腕に食い込み痛い思いをすることがないのです!

風呂敷×防災 誕生秘話

もともと風呂敷は趣味だったという日本風呂敷文化協会代表の横山さん。
防災に着目したきっかけを聞いた時、ぐっと胸にくるものがありました。

日本風呂敷文化協会 代表理事 横山 芳江さん

横山さんは、東日本大震災で親族を失った遺族のひとり。
当時、心の中では理解しつつも諦めきれず、避難所を探して、探して、探し回っていたそうです。
そんな時に避難所で出会った、生まれたばかりの赤ちゃんを両手で抱えた一人の女性。まだ小さい子どもが女性の服の裾を握り隣を歩いています。
近くに父親らしき男性の姿は…見えません。

当時、被災された人々は疲弊し、避難所はどこも大変な状態でした。
泣くことが仕事である赤ん坊を連れていると、心ない言葉を浴びせられることもあったといいます。

そんなお母さんのせめてもの助けになればと、横山さんは風呂敷で赤ちゃんの抱っこ紐を作ってあげたそうです。
すると、お母さんの服の裾を握りしめていた子どもが、抱っこ紐で手が空いたとたん、ガシッとお母さんの手を握りしめ、ニコーッと満面の笑みに。
どんなに心細くても、お母さんの手を握りたくても、赤ちゃんがいるから我慢していたんですね…。

服は汚れてボロボロで、子育てに必要なものなんて何もなかった女性のために、横山さんが風呂敷でできる「おむつ」や「授乳ケープ」も教えたところ、その女性は大変喜んでくれたそうです。

風呂敷でこんなに喜んでくれるとは!

衝撃を受けた横山さん。
この経験が、災害時における風呂敷の無限の可能性を考えるきっかけとなったそうです。

風呂敷の歌

「風呂敷は、もしもの時も大切なものを守ることができる」
そのことを広く知ってもらうため、横山さんは活動を続けています。

でも、風呂敷って使い慣れていないと難しく感じてしまいますよね?そこで横山さんは、子どもでも扱えるよう風呂敷の歌を作りました。

横山さんが作った「ふろしきの うた」

左上 重ねた風呂敷 ぐるっとくぐらせ…

風呂敷の基本的な結び方を教えてくれるこの歌。
講座の参加者も、何回か繰り返すとすぐにマスターしていました。

歌に合わせて風呂敷の結び方をマスター

「いざという時、ちゃんと風呂敷を使えるようにするには、どうすればいいだろう?」
東日本大震災の経験を聞いた今、試行錯誤の中でできたこの歌への横山さんの強い想いが感じられます。

命を守る防災風呂敷

小さいものならポッケに入るほど薄くて軽い、たった一枚の風呂敷。
でも、大切なものを守ることができる。

「防災としての風呂敷をみんなが知っていることが当たり前」になるよう、横山さんはこれからも工夫を凝らしながら防災風呂敷を伝えていきます。


取材協力:一般社団法人日本風呂敷文化協会
https://furoshiki-bunka.com/