「スタートトリアージ」ってなぁに?
J:COM安心安全チーム、東京担当の櫻井です。
首都直下地震に備える市民防災力向上の啓発活動を目的とした団体「NPO法人立川災害ボランティアネット」が毎年開催する、体験型の防災講座を取材しました。
市民のための体験型防災講座
「災害時に自分の住む地域で活躍できる人材の育成」を目的に、2014年から始まった体験型防災講座。
今年は8月~11月まで全7回で開かれ、15名が参加。
立川市の防災や、防災倉庫の見学と資機材の組み立て実演、避難計画の作成など、座学と体験を織り交ぜ学習します。
取材したのは、講座4回目の「スタートトリアージ」を学ぶ回。
「トリアージ」とは、同時多発的に病人やけが人が出た場合、その重症度を見極め、より症状の重い人から医療的処置を受けられるように優先度を決めることです。
住民自身が行う「スタートトリアージ」
スタートトリアージは、医師や看護師など医療関係者が行うトリアージとは異なります。
医療資源に限りがある大規模災害の現場で一人でも多くの命を救うために、住民自身が多数の負傷者が発生した中から重症度を見極め、医療機関にかかる優先度を判断していくというもの。
講座では、そうした住民自身によるトリアージ(スタートトリアージ)の考え方や、治療の優先度を判断する方法について、㈱Team HOSOTSUBOの細坪信二さんを講師に迎え学びました。
スタートトリアージの基本的な考え方を学ぶと、次は実習です。
講座室とは別の場所にけが人役を配置して、受講生は実際の発災現場さながらにトリアージを行っていきます。
もちろん、けが人が何人いて、どんなけがの状況なのか受講生には知らされません。
実習を終えて…
参加者は「とても緊張した。平常心でいることを心掛けたつもりだが、難しかった」「一人見落としてしまったのが悔やまれる」などと話していました。
講師からは「多くの人の命を助けるためには、けがの重症度によっての振り分けは大切」、また災害現場でけが人を探すときのコツとして「見落としを防ぐには、全体から中心に向かって目を配ること」とちょっとしたテクニックのアドバイスもありました。
受講生のひとり、保育施設に勤務しているという方は「100冊のマニュアルより1回のシミュレーションがものすごくよい学びになった」と今回の講座を振り返り、「この体験型防災講座の最終回、普通救命講習を受講した後に、上級救命講習も受けて知識を蓄えて、子どもの命を守るために学んだことを活かしたい」と話していました。
自らもけが人役で参加した、NPO法人立川災害ボランティアネット理事長の上條 宇史さんは「何事も頭で分かっているようでも、実際にいろいろ体験してみると、思っていたことと違ったものが見えてきます。けが人役で誰からも声をかけてもらえない淋しさなど、受講生の皆さんにもいろいろ体験いただき、その経験を地域の防災力強化につなげてもらえればと思います」と話していました。
NPO法人立川災害ボランティアネットは、このほかにも様々な防災に関する講座やイベントを実施しています。
ご興味のある方は「立災ボ」の公式サイトをご覧ください。
NPO法人立川災害ボランティアネット公式サイト (tachisaibo.org)
取材協力:NPO法人立川災害ボランティアネット