犬の気持ちに寄り添って
J:COM安心安全チーム、東京担当の櫻井です。
今回は、ペット防災の中でも特に犬の防災についてご紹介します。
教えてくれたのは…
東京都立川市で、犬と飼い主のコミュニティ「ペットカフェたちかわ(支えあいサロン登録団体※)」で講師を務めている、ドッグカウンセラーの五十嵐いずみさん。参加者が犬を飼う中で困っていることを聞き出し、飼い主と犬のよい関係づくりのサポートをしています。※支え合いサロンの詳細
たとえばお悩み事で多いのが、人に吠える、飼い主に噛み付くという相談。こうしたアクションをするのは犬が飼い主に何か伝えたいメッセージがあるから。このような場合には、飼い主が犬の行動や表情をよく観察して話しかけ、メッセージを理解してあげると、落ち着いた振る舞いに変化するといいます。
五十嵐さんとペット防災の出会い
そんな五十嵐さんがペットの防災に興味を持ったきっかけは、この「J:COM地域取材ノート」のペット防災特集でもお話を聞いた、NPO法人アナイス 平井潤子さんの講習会を今年受講したこと。
それまでは、家が住めない状態になった場合でも、被災したら愛犬と一緒に車で生活するから大丈夫と考えていましたが、能登でのペットの状況を聞き、愛犬と生活する場所の選択肢を増やしておくことや、ペットフード・薬の備えのことなど、自分の考えや準備が足りていなかったことを気付かされたそうです。
それからは「ペットカフェたちかわ」でも、ペット防災をテーマに盛り込み、様々な事情を抱えたペット連れが避難所に来た場合のシミュレーションゲームなども取り入れて、参加者と一緒にペットの災害対策を考え、まずは各自の備えを改善することから取り組んでいます。
犬が「クレート」に入れるようにするのは大事な備え
五十嵐さんに、とくにクレート(キャリーケースやキャリーバッグともいわれる)の備えについて教えてもらいました。
飼い主へのアドバイスは、犬が嫌がらずにクレートに入ることができるようにする習慣づけをしてやること。そのしつけのコツは…
例えばクレートに入るのが病院に行く時だけという場合、犬にとっては「クレート=嫌な所」と刷り込まれ、クレートに入ることがネガティブなイメージになってしまいます。
そこで、クレートに入った先に、楽しいこと、うれしいこと、安心できることなど、「ポジティブなこと」が待っているという経験を積ませると、抵抗なく入るようになるそうです。
たとえば、車に乗って散歩やドッグランに行くときにクレートに入れたり、中に飼い主のニオイがついたタオルを入れて居心地のよい場所、安心して休息できる環境を作ったりしてやることが挙げられます。
こうした、日常のちょっとした積み重ねが、大切だといいます。
ペット防災の指南書には「クレートに入れるようにしておきましょう」とありますが、犬の気持ちに寄り添いながら習慣づけてあげることが大切なのですね。
今後は、地域の防災訓練などでもペット防災について多くの人達と知識を共有して、地域全体で取り組めるようにしていきたいと話していました。
五十嵐さんが講師を務める「ペットカフェたちかわ」の情報は、こちらからご確認いただけます。
写真提供:五十嵐いずみさん
取材協力:立川市社会福祉協議会、ドッグカウンセラー 五十嵐いずみさん